商品コンセプト/3.塗りの話
どうも、國吉真矢です。
最近直感に従わないとダメだな、ということが増えてます。
やろう!・・でも待てよ、と考えすぎていくつかタイミングを逃したことが。。。(買い物やら何やら)
でも勢いでやったことでも失敗もあるし、、、
悩ましいですね。
まあどちらにせよ失敗するなら、やろうと思ったことをやらなくてタイミング逃がして失敗するより、やってしまって失敗をリカバリーするほうが結果的にマイナス小さいような気がするんで、今後はやってしまおう!と思います。
逆にやらなくていい、と思ったことは思い切って後回しです!
さて、今回は商品コンセプトの続きです。
前回と言ってることが違うやんけ!って?
スイマセン!今やってることを書いてもなんのことかわからないと思うので先にこっちから書かせてください!お願いします!
というわけで商品コンセプトの3回目です。お付き合いください!
・前提 = サステナブル
・形状 = 皿
・塗り
・素材
・それ以外のコンセプト
今回は塗りについて書いていきます。
一口に塗りといっても切り口色々あるんですよね。
今回は塗料の話です。
塗りといえば「漆」!
漆こそが塗りの全ての始まりです。
キーワードは「美しい、丈夫、変色の美」。
一般に塗り物、漆塗りといえばこちらを用いたものを指します。
業界的には「本漆」ですね。
漆の木から採れる樹液を使います。
器などの木地に塗り込み、気温24~28℃、湿度70~85%で一か月ほど乾燥させる必要があります。
(乾燥といいますが、実際は漆に含まれるラッカーゼ酵素がウルシオールを酸化重合させ硬化するという化学反応です。)
確認された最古の漆塗りのものは縄文時代の日本の遺跡で見つかったとか。
とはいえ漆の木は植生として中国原産なので漆塗りの発祥そのものは中国ではないか、と言われています。
単純にその時代から使われ続けているのは凄いことだと思います。
メリットは「美しさ」と「丈夫さ」です。
メリット①美しさ
漆を塗った木の食器には独特の質感と光沢が生まれます。(私が大好きな奴ですね!)
漆そのものは茶色いので、茶色~こげ茶といった色が始めは主流でした。
次第に染料や顔料を混ぜ込む技術が生まれたことで今あなたがイメージできる赤や黒、また蒔絵といったものを施した塗り物が生まれました。
その美しさから、お椀やお箸といった食卓にだけでなく、仏像や建物といったものから身の回りのもの(櫛や帯飾りといったもの)と様々なものに使われて来ました。
長く使えば使うほど徐々に変色し、新品にはない味わいが生まれていくという変色の美も楽しめます。
メリット②丈夫さ
完全硬化した漆はかなり丈夫で、先に述べた通り縄文時代の遺跡から発見できたほど。
丈夫な漆の層でコーティングすることで木地を守る役割もあります。
そして漆部分に傷がついても塗りなおすことで長く使えます。
農具のような長く使うものにも施されてきた歴史があります。
丈夫であることは先に挙げた変色と相性のいいメリットなんですよね。
なので長く丁寧に使っている漆器ほど他にはない美しさを持っています。
しかし残念ながらデメリットもいくつか存在します。
デメリット①有害性
漆は天然素材のくせに「カブレる」という人体有害性を持つ天然素材界の困ったちゃん。
自然のものだから体にいいという幻想は捨てましょう。
なんせ天然毒はたくさんありますぜ。
職人だろうがユーザーだろうが生のままの漆はお構いなしでカブレます。
先に述べた乾燥条件を満たさないものも当然かぶれます。
通常であれば1か月ほどで乾燥するはずですが、怖いので2か月とか置いていたくなります。
最近はカブレる成分を少なくしたり、無くしたものも登場しているようです。
デメリット②漆の産業としての持続可能性
苗から育てて樹液が取れるまで約10~15年かかります。
1本の木から搾れる漆は約200g程度と言われています。(木のお椀にして4個塗れる量です。)
これを多いか少ないか感じるのはあなた次第ですが、事実として漆器市場が大幅に縮む中で10年後を見据えた漆の木栽培は非常に厳しいものがあるのは間違いないでしょう。
日本産の漆の価格は中国産のおよそ10倍、日本で使われる漆のうち日本産のシェアは現在1%に満たないと言われています。
また、当然漆を採取するときもカブレるリスクがあります。
有害な樹液にまみれる可能性もある職業はどうしても先細りになってしまう可能性が否めません。
デメリット③時間がかかる=環境面のコストがかかる
乾燥に1か月~2か月ほどかかるため、その分の場所を確保せねばならず、一回に作る量を増やすほど環境への負荷が高まります。
(最近では乾燥時間1/10程度の速乾性を持つ漆も登場しているようです。)
また修理の際も同様の時間がかかってしまいます。
環境面の負荷に関連して、10~15年生育し漆を200グラム絞った漆の木は徐々に絞ろうがいっぺんに絞ろうが寿命を終えてしまいます。
ですがこのことはカーボンサイクル的には適性の範囲だと思います。
なんなら収支はプラスでしょうね。
切られた木をすべて燃やしてしまわない限りは。
まとめ
以上のことから、メリットデメリットを比較衡量し、サステナブルという側面も検討した結果、
塗りを漆で行うなら「速乾でウルシオールを全く含まない漆を使い、採算の合う高価なものを作る」
という結論になってしまいました。
・・・起業して一発目で高価なものはかなり危険な香りがします。(笑)
どうにか別の選択肢はないでしょうか。
なので次回は別の塗料についても検討していきます。
まとめると次回が本題ですね。長いですけど必要な前振りなんですって。
というわけでまた次回。
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