商品コンセプト/⑤-ⅱマーケットインのために
やっと商品コンセプトの完結編です。
長々かかりましたがサラッと行きましょう。
前回の商品コンセプトの投稿で私の商品コンセプトにはマーケットインの発想が足りないことを書きました。
おさらい:マーケットインで市場に求める条件
求めるところは
①市場規模がそれなりに見込めて、
②将来性があって、
③ニッチで、
④需給ギャップがあるところです。
そのためには他の好まれる分野を調査し要素を分析する必要がありした。
なので今回はその手順について実際に行った形を書いていきたいと思います。
結構必然、ということがわかると思います。
今後何か作るあなたの何かの参考になれば幸いです。
実際に行った手順
私の作りたいもの:竹の塗りの皿<食器<インテリア
まずは徐々にくくりを大きくしていきます。ここではインテリアというところまでたどり着きました。
そして調査です。
インテリア業界について調べました。
コロナ禍で伸びたインテリア業界
ここ10年ほど堅調にインテリア業界は推移してきました。
しかし2020年以降それが変化します。
そう、コロナ禍です。
巣ごもりで需要が一気に高まったことからインテリア業界は大きく伸びました。
これはおおいに需要はありそうです。
とはいえ、インテリア・食器というくくりは私のような超弱小には大きすぎます。
そういう大きなところは大きな企業のものです。
もっともっとニッチによる必要があります。
さらに調査を続けます。
中でも伸びたのは日本では「ニトリ」。
そして最も伸びたといっていいのが世界の巨人「IKEA」です。
ここで、お、と思います。
トレンドの「北欧デザイン」です。
北欧デザイン
北欧デザインとは「ヒュッゲ」・・・あたたかくほっこりまったりとかそういう意味だそうです。
その特徴は飽きの来ないシンプルで温かみのあるデザインです。
日照時間が少なく家の時間が長い北欧ではそのようなデザインが好まれたといわれています。(他にも戦後の物資不足から量産が求められた、とか北欧の人は光に弱かったんじゃないか、とか色々要因があるそうですがここではこの辺でとどめます。キリがないよ!そらそうだ)
トレンドということは潜在的な需要が見込めます。
シンプルに「塗りの皿」です、と提示するよりも「塗り物で北欧テイストの皿」というアピールは、より訴求力があるような気がします。
①の市場規模の条件は満たしました。
しかし、引っかかることが2点ほど。
ひとつは北欧デザインにも様々な種類があり、シンプルでありさえすればいい、というものでもなさそうです。
当然ですがブランドやデザイナーごとに振れ幅もあり、うーんって感じです。
(流れとしてはハックマンやらカイフランクの流れが好きですが)
ひとつに絞り込むにあたり色々調べましたがこれ、と言い切るのは難しいのが正直なところでした。
そしてもうひとつ。
なんの脈絡もなく北欧!っていうのは、なんかなぁ・・・って感じです。
もちろんサステナブルの観点の先進国という視点で捉えればいいような気もするんですが、その脈絡のなさをどうすっかなーって感じでした。
顧客に購買してもらうには信頼が必要です。
信頼してもらうためには、同じ方向を向いているという共感が必要です。
共感を得るためには作るための必然性のある理由、筋の通った物語が必要です。
引っかかるところは二つともその話の筋の部分がかなり弱いと感じました。
そこから悩みに悩んで半年ほど月日が流れました。
「Japandi」との出会い
そんなわけで北欧がいいなーぐらいの感じでまではいったのですが、その先の決め手に欠いていたある日のこと。
情報収集のため日課のネットサーフィンをしていると、とあるツイートが流れてきます。
海外在住の方がロックダウン中に家に飽きて模様替えを検討しているときに「やっぱ次はJapandiにするわ」みたいなことを言っていました。
そう、「Japandi」です。
「Japandi」、あなたは最近聞きませんでしたか?
・・・聞いてない?あれ?おかしいな
いや、私も最初聞いた時全然ピンとこなかったんですよ。
最初はJapan=「漆器」を指すのかと思いました。(漆器屋あるあるです!)
あん?なにいってんだ?と思ってよくよく調べてみると漆器じゃありませんでした。
実際はScandinavi(北欧)+Japan(日本)=「Japandi」、日本テイストの北欧インテリアデザインということでした。(naviaどこいった)
むむ!これは!
北欧デザインの持つシンプルさ、温かみといった特徴にミニマルな無駄のない日本のデザインを取り入れたもののようです。
そのコンセプトはヒュッゲ+「わびさび」「禅(マインドフルネス)」といったところでしょうか。
デザインの特徴はシンプルさがウリの北欧デザインの中でもよりシンプル。
いわゆる「用の美」をさらに強調しています。
ヒュッゲが意味するところのほっこりはどことなく地方、というか実家のような温かみを感じさせますが、「Japandi」はそのイメージを残しつつも線の少なさがどことなく都会的にも感じられます。
とてもとてもとても好きなデザインです。(カイフランクとかのシンプルなデザイン大好きなんですけど理想はもうちょいシャープにしてやりたいんですよ!)
そして何より「Japandi」は概念として比較的新しいため(おそらく2018~)物凄く将来性がありニッチなことがわかります。これだ!
最初に掲げた条件の②「将来性」と③「ニッチ」を同時に満たします。
ニッチ過ぎあるいは感性が早すぎてコケてしまいそう場合はプランBとして北欧くくりに入れてしまうことも可能です。
(北欧風とか北欧テイストとかがそれですね。あるいは例として北欧カトラリーとして名前の出るクチポールはポルトガル製だったりします)
しかも北欧デザインって言ったほうがわかりやすいですしね。
何より、ただ流行ってるから北欧、というよりも、Japandiへの日本からの、何なれば塗り物(Japan)からのアプローチというのは物語の正当性も獲得できます。
さらに、これは前回設定した企業理念の
私のミッション「サステナブルで自由な塗り物を実現し、確立する」(→漆器の固定イメージからの脱却)
パーパス「サステナブルで自由な塗り物を広め、賛同者を増やし世界の価値観をもっと自由にする」(→塗り物の美しさを世界に伝える)
と一致するアプローチとしてもぴったりです。
そして重要なのは自分の立ち位置です。
私は起業したての吹けば飛ぶような超弱小の新参者です。
そして北欧デザインに対してはアウトサイダーです。
ならば立ち位置はひとつ。
「挑戦者」しかありえません。
以上のことから
「Japandiデザイン」への挑戦
あるいは「北欧デザインへの日本側からの挑戦」(結果的にこちらの想定するjapandi)
というコンセプトに至りました。
私の好きなカイフランクについてもう少し調べてみました。どうやら日本における大正期の民間手工業への美術的注目「民藝運動」にも注目していたというか影響を受けたらしいです。(私もその延長上のクリエイターをやっていました。)そういう点でも日本のデザインとの親和性は高かったようです。イッタラの線の少ないデザインを見ればなんとなくわかる気もします。
あとは④需給のギャップについても調べました。
調査の結果、今のところですが、「塗り」×「Japandi」はもちろん、「塗り」×「北欧」もそのコンセプトで作られている商品としては未確認です。
(既存の伝統的な塗り物に#Japandiみたいなことはありますが)
なんなら「Japandi」×「食器」も未確認です。
ここにこそギャップがあると見込みました。
これによって顧客像が固まります。
Japandiの食器が欲しい人、が想定する第一顧客像です。
より具体的には
「Japandiの食器が欲しいけど売ってないから買えない人」(ニーズ)
「japandiでインテリアを統一したいけど既存の食器はどうもイメージに合わない人」(ニーズ)
「Japandiのインテリアが欲しいけど高価すぎると感じている人(食器は比較的安価のため)」(ニーズ)といったところでしょうか。
第二顧客像はもう少し大きくとって「北欧食器好きだけど塗り物も好きな人」「既存のとは違う北欧食器が欲しい人」(どちらもウォンツ)といったところですね。
サステナブルの観点、あっちはガチです。
北欧コンセプトのデザインをするときに注意したいことがあります。
日本では大流行でも海外ではSDGsはあんまり言ってない、という話はよく聞きます。
では何を言ってるか。
「エシカル」「サステナブル」らしいんですよ。
特に北欧は環境先進国なので、それら観点のない商品はあまり相手にされないようです。
まして海外からアプローチしようとしたときにその概念のない商品を出そうもんなら、、、
そこで、私の商品コンセプトではSDGsがどうこうよりもサステナブルの観点を強調してたわけです。
学生の時、ちゃんと勉強しといてよかった!
まとめ
・前提 = サステナブル
・形状 = 皿
・塗り = 水性ウレタン
・素材 = 竹
・それ以外のコンセプト = 「Japandi」への挑戦
以上のことから私の商品コンセプトは「サステナブル」を前提にした「Japandi(北欧)」テイストの「水性ウレタン」塗りの「竹」の「皿」になりました。
いやー長かった。
書き始めて半年経つのにやっと製品コンセプトが完成ですよ。
今から起業されるあなたは、起業する前にここまで練ってから始めるといいと思いますよ。
言語化、大変。
というわけで次回以降はコンスタントに何やってるのか、何がこんなに時間をかからせたのかとか書いていきたいと思います。
ツイッターも活用しようと思ってるんですが、あれ、どうなんですかね・・・?
まあ何とかなるでしょ。
というわけでまた次回!
あー長かった!
今後ともよろしくお願いいたします!
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