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グランタブローで【ザ・クラウン】を読む

Netflixオリジナルドラマ「ザ・クラウン」をテーマに、36枚のカードを並べるグランタブローを読んだ動画を作成しました。グランタブローを図にしたものがタイトル画像です。
下記に動画リンクとナレーションテキストを掲載します。
【動画再生時間:15分59秒】

ナレーションテキスト

こんにちは、ルノルマンカードを読むひと、織瑛です。
本日はNetFlixオリジナルドラマ【ザ・クラウン】をグランタブローで読んでいきます。
イギリスのエリザベス女王の生涯を描くこのドラマは、全6シーズン、60話。大河ドラマ一年分よりも長いですね。
実在の人物や出来事が描かれていく壮大なドラマでは、エリザベス女王と夫のフィリップ王配だけではなく、伯父のエドワード元国王とシンプソン夫人、チャールズやダイアナやカーミラ、アン王女、マーガレット王女、ウィリアム王子、学生時代のキャサリン妃などの王族たちや、チャーチルに始まり、サッチャーやメジャーやブレアなどの歴代のイギリス首相たち、ケネディ大統領やジャクリーヌ・ケネディ、も登場します。
これだけの壮大なドラマを一枚のグランタブローで表現できるのでしょうか?

グランタブローを図にしたものがタイトル画像です。黄色のカードに注目して読んでいきます。
淑女のカードがエリザベス女王、紳士のカードがフィリップ王配です。
このカードの雰囲気、シーズン1の若い夫婦のおふたりの雰囲気にマッチしているなあと思いました。

君主のイメージとは


淑女のカード、エリザベス女王を見てみます。
頭の上にどのカードが出るかいろいろ予想をしていました。指輪か、百合か、十字架かなあと。
予想を超える結果でした。
淑女のカードは一番上の列に出ました。頭の上に何もない位置です。
自分が何者であるのかがリセット中の場合も一番上に出ますが、これはそうではないと思いました。
ドラマの中で、エリザベス女王が「君主に好みはありません」というセリフがあります。君主はフラットで公平な存在であり、個性を見せる必要はない。それが現れているのではないかと思いました。
固定されたイメージの拒否です。
しかし、淑女の下にあるのは星です。心の中に星を抱く女王です。
常人には手の届かない崇高で美しい理想を抱いて生きていく姿です。
星の高さを上回る位置に座る女性ですね。
女王の右には太陽のカードがあります。社会的に成功している立場の人に出る太陽。下には熊。ものすごい実力を持った太陽です。横にぴたっと太陽がついている。ものすごく納得します。
女王が見ているのはキツネのカードです。固定されたイメージを拒否した女王だけれど、自分を華やかに盛って国内と国外の外交と社交をこなしていこうとする意識が強く表れているようです。

女王になるまでの過去


女王の位置する一番上の列の、左端からカードを読んでいくと、女王になるまで歩んできた環境を示しているように見えます。
一番左。樹のカード。下に月のカード。月は幼な子と読み、樹=健やかに育っていく、幼い頃の女王と読めます。
この樹のカードは、小さな樹が透明なカバーに覆われていて、大切に特別なサンクチュアリで育てられた樹のようです。
二番目のカードはクローバー。その下には本。
クローバーは少女時代を、広げられた本は、学んでいる、教えられている雰囲気ですね。女王が少女の頃に、イートン校の個人授業で、イギリス憲法を叩き込まれたエピソードを思い起こさせます。
少女時代を終えて、キツネのカードに向かいます。キツネの下には花束。花束を贈られる、賞賛されるキツネですね。
蛇の賢さではなくキツネの賢さが必要なんですね。蛇の賢さは政治家のもの、キツネの賢さは君主のもの、なのかもしれません。

「女王の夫」という生き方


次は紳士のカード、フィリップ王配です。
お互いに視線は向き合っていますが、女王と同列には出ませんね。二段下で、少し距離があります。
頭の上には本。この本のカードの絵柄は、女性が本を開いて見せていますね。閉じた状態の本は「秘密」を現わすことがあります。
女王が秘密を見せることができる相手、相談できる相手、それがフィリップ王配ということではないでしょうか。
本のカードは女王の少女時代を示すクローバーのカードの下にあります。
フィリップ王配がエリザベス女王と初めて出会ったのは女王が13歳の少女のとき。クローバーは初恋の間柄も思わせますので、その繋がりをも思わせます。
フィリップ王配の下には十字架のカードがあります。逃れられない宿命を持って生きる人です。十字架は女王の夫という立場のことかもしれません。
右に縦に並ぶのは花束、庭、鎌。なんだかそのまま、鎌で庭の花を刈ってブーケを作る、みたいに読めますね
花束のカードが女王の左のキツネの下のカードになります。
庭は、自宅の外の社交の場と考えて、社交や外交の場で、キツネになっている女王に花束を贈るように盛り立ててあげていたと読みました。
左に縦に並ぶのは月、鳥、鍵。月は大衆、その下にある鳥と組み合わせて、マスコミではないでしょうか。
女王の戴冠式にテレビ中継を行うなど、フィリップ王配は大衆に対する広報を意識していた人と思われます。
左下の鍵。鍵を持っている人です。戴冠式で女王を守ることを誓った「守る」象徴がセキュリティ的なイメージの鍵に現れていると思いました。

勤務先は宮殿


塔のカードが面白かったです。
塔を勤務先の会社ととらえると女王にとっては宮殿となります。
塔の下には指輪。君主に所有契約された建物です。
塔の上には犬。犬は部下と見て、女王に仕える多数の宮殿の従者たちを示していると思いました。女王の愛犬のウォルシュコーギーも含まれますね。
ザ・クラウンでは、女王のために動く部下たちの有能さや多様さも見ものです。犬のカードは、宮殿とはどのようなところであるのか=多数の部下たちが女王のために、国のために働く場であると伝えてきています。
犬の左には熊のカード。熊は厳しい両親や上司、実力者ととらえると、犬=女王に仕える部下は、実力者揃いです。
若き女王にとっては、厳しい両親のような年上の部下たちの存在感も大きかったことでしょう。
塔の右下にはコウノトリ。女王が仕事をする宮殿は引っ越しのように場所を変えます。
女王の宮殿は、バッキンガム宮殿だけではなく、ウィンザー城、バルモラル城、ダイアナ妃が住まいとしていたケンジントン宮殿など、数々の宮殿があり、用途によって女王は宮殿を移動しながら君主の任務をこなしていました。
塔の下の指輪の左には錨。仕事・義務ですね。塔=宮殿は、女王の仕事と切っても切れない場所であり、バッキンガム宮殿に住むことが君主の義務とされました。
塔の右には山、その上にライダーのカード。このライダーのカードの絵柄は鹿ですね。山の上の鹿という配置が、狩りを思い起こさせました。
ザ・クラウンには印象的な狩りのシーンが何回も描かれます。
王族のたしなみ的なスポーツであり娯楽であり社交の場であった、狩り。広大な狩り場にある宮殿のひとつがバルモラル城でした。

君主の仕事とは


君主という仕事に人生をささげた女王ですので、仕事のカード、錨のカードも読むべきですね。
錨のカードの上には手紙のカード。その左には棺のカードがあります。
これは、毎日女王に届けられる、「女王専用の鍵のかかった箱に収められた、女王が読むべき文書の山」を現わすのではないでしょうか。
棺と手紙のカードはこのグランタブロー全体の中心に位置する二枚です。
君主の仕事の根幹は、ドラマティックなものでも華やかなものでもなく、コツコツと地味に小さな仕事を毎日こなし続けることであると伝えてきているように思います。
また手紙は、新聞のことを現わしているのではないかと思いました。ザ・クラウンの中の新聞の存在感の大きさには驚きました。
毎朝、全ての新聞をチェックする王族の人々にとって、新聞は重要な情報源であり、国民が抱く王室のイメージを掴む重大な手がかりだったのではないでしょうか。
錨のカードの左にはハートのカード。
夫婦の間柄の心のつながりは、常に仕事のそばにあったというようすですね。このハートの上に棺がのっていて、下には鞭があります。
かなり窮屈そうなハートですね。夫婦でありつづけるためには、鞭=規則やルールも守りながら、棺の中に収めておかなくてはならない想いもあったと読めます。
錨の下には雲、その右には船。船は、そのもののブリタニア号も登場しましたが、海外・国際的な仕事であると読みます。
雲のカードは、本来は不安定さや不安感を現わすカードですが、ザ・クラウンで、飛行中の女王専用機の中のシーンが幾度も出てきたように、絵の通り、雲の上で仕事をしていたこと、飛行機の中も仕事場であったことを伝えてきていると思いました。

騎手が示す人物


最後に。騎手・ライダーのカードが気になりました。
なぜ気になったかというと、ライダーの頭の上に百合のカードがあったからです。
私はてっきり、百合のカードは家のカードの上に出てくるものだと思っていました。ウィンザー家といえば世界史が、世界中が知っている由緒ある家だからです。百合のカードは家の左横にぴったりついて出てきたので、家の高貴さは示されています。
しかし、家よりも、ライダーの頭の上にどうしても百合を出す必要があった。
ではこのライダーは、何を意味するのだろうと。

ライダーのカードの絵柄は鹿です。鹿の背には鞭をもった女性が乗っています。女性にコントロールされているような鹿です。
鹿は狩りのシーンに登場する最も偉大な獲物です。
恋人カーミラをあきらめてダイアナにプロポーズをする決心をしたチャールズのストーリーを描くエピソードでは、狩り場でフィリップ王配と一緒にダイアナが立派な牡鹿を射止めるサポートをし、はく製となった牡鹿のクビが宮殿の居間に飾られるという、チャールズのカーミラへの思いが折られたことを象徴するようなエピソードが描かれます。

ライダーのカードの鹿は、チャールズである、と思いました。
皇太子という高貴さを伝えるために、これはチャールズであると伝えるために、ライダーの上に百合のカードを出してきたと思います。

この結婚には三人いた


ライダーの右には子どものカード。左には犬のカードがあります。この犬のカードには犬と女性が描かれています。
子どもはダイアナ、犬はカーミラであると思いました。
カーミラはチャールズと対等な友人のようなつきあいのできる、相談相手になれる知性と忍耐強さを持った女性なので、友人と忠実さを示す犬のイメージが似合います。
ダイアナのイメージは、まさに、天真爛漫な精神を持った子どもでした。
ダイアナは賢さも持っていましたが、妃殿下であることよりも夫やこどもや周囲の人々の愛情と優しさに包まれ、与えたかった人というイメージです。
チャールズにとってダイアナは知性や趣味の面では幼すぎました。
百合の左にはネズミがあります。
ウィンザー家の高貴さを示す百合は、ネズミに損なわれるような危機に何度も陥りました。
ネズミの下には犬、カーミラがいます。チャールズの高貴さを示す百合の名声は、ネズミ=愛人の存在が世間に周知されてきたことに損なわれてきたと言えます。

ダイアナのストーリー


子どもの上には家のカードがあり、婚約時代からバッキンガム宮殿に孤独に閉じ込められたダイアナを思い起こさせます。家=ウィンザー家、イギリス王室に閉じ込められた一生だったということも意味するのかもしれません。こどもの下には道のカード。この道のカードの絵柄は、自分の行く先に迷う少女の絵です。まさにダイアナの人生を思わせます。
道の下には蛇のカードがあり、迷いながら進むダイアナの道筋には、高貴な身分と絶大な人気を得ているダイアナに近づく、パパラッチやジャーナリストやアルファイド氏など狡猾な存在を思わせます。

以上、NetFlixオリジナルドラマ「ザ・クラウン」をテーマにグランタブローを読んでみました。
ただいま私は全60話を1話目から見直す、二度目の鑑賞に入っています。

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