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ジュンジのくしゃみ

中学生の頃、友だちと「くしゃみをした後にどんな音を発するか」の話をした。彼女のお母さんは「ハクション!…あ~いや」というらしい。へえ~。私の兄は「ヘプシン!…んあ~」だよ、と教えた。いろいろあるねえ、おもしろいねえと笑い合っていたあの頃。くしゃみ自体、いろんな音があるよね。

父・ジュンジは、昔はノーマルに「ウェッホン!」だけで終わらせるくしゃみだった。普段は口数の少ないジュンジだが、くしゃみの音は大きいのでいつもびっくりする。

ところが、ここ数年のこと。「ウェッホン!」の後、「ベラベラベラベラベラ!!」というか「レロレロレロレロレロ!!」というか、なんとも文字にしがたい音を発する変な癖がついたのだ。しかも、ご近所さんに聞こえているに違いない大音量で「レロレロレロレロレロ!!」と言うから、恥ずかしいったらありゃしない。

つい近年こそ、まるで好々爺みたいに振る舞うようになったが、長年むっつり無愛想なおじさんとして生きてきたジュンジ。ご近所さんは、きっとジュンジの口からそんな音が意図的に発せられているとは想像できないだろう。

「このみさんちのおじいちゃん、くしゃみした後にへんな音が聞こえん?」
「何か叫んでない?大丈夫かいな?救急車呼んだ方がいいかねえ?」

なんて言われているんじゃなかろうか。だから、ジュンジがくしゃみをすると、反射的に家中の窓を閉めたくなるのだ。

外でご近所さんに会うと、よく「お父さんは元気?」とシンプルに聞かれるが、本当は「くしゃみの後に変な音が聞こえるけど、あれ、何?大丈夫?」と謎を解明したいところをぐっと我慢しているだけなのかもしれない。

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