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【生産性のモノサシ】 Toxic Workplace Behavior 職場の有害行動 - 対策編

 職場の有害行動は法律に違反するわけではないので、米国でも解雇は困難とされている。そのうえ上司先輩が有害行動をとる場合には、部下後輩の自己防衛策は限られてしまう。

 マッキンゼーの記事は「日頃からチームの外に人的ネットワークを広げておく」ことを推奨している。上司先輩の有害行動に対しては、チーム内の同僚部下だけのネットワークでは太刀打ちできないからだ。

McKinsey に加えて Insead や Forbes のオンライン記事も参考にして、上司先輩の有害行動への対処法をまとめてみました。

How to Handle a Toxic Boss
有害な上司に対処する方法
https://knowledge.insead.edu/career/how-handle-toxic-boss

5 Ways To Cope With A Toxic Boss (Without Quitting Your Job)
(仕事を辞めずに) 有害な上司に対処する 5 つの方法
Caroline Castrillon、Forbes、Feb 4, 2024

個人でできること

社内で仲間を見つける

 有害な上司に直面したときに最もやってはいけないのは、孤立すること。あなたを知る人が増えるほど、上位のレベルで味方を見つけられる可能性が高くなる。信頼できる友人やメンターになれる同僚と同盟を結ぶこともできるかもしれない。最も良い点は、こうした職業上の人間関係が、将来的に横方向または縦方向のキャリアアップにつながることだ。
※ たとえば、他部署と共同で仕事をすることは、人的ネットワークを広げる絶好の機会となります。日頃から、他者に親切であることが自分の身を守ることにもつながります。

何にNoと言うか慎重に考え、Noと言ってみる

 誰しも、常識と非常識の境界線がある。上司とあなたで、この境界線が多少ずれているだけかもしれない(※ ズレて重なりあう2つの円を想像するとわかりやすい)。だから、自分が耐え難い上司の行動とは何か、具体的に明らかにする。上司を傷つけぬよう、礼儀正しく「〇〇のような発言や行動はやめて欲しい」と言ってみる。その結果、上司が行動を改善しようと努力するかもしれない(もちろん、そうでない場合もある)。

十分な準備をして、人事部に助けを求める

 状況が改善しない場合、十分な準備をして、人事部に助けを求めることも選択肢となる。これには慎重なコミュニケーションが必要だ。上司を今のポジションに任命した上位上長や経営幹部の判断に、間接的に異を唱えることになるからだ。だから、上司の有害行動について具体的で十分な量の記録を用意し、自分や同僚に生じている悪影響を明らかにし、単に問題点を強調するだけでなく、状況を改善するための具体的で建設的な提案もすることが望ましい(もちろん、このような努力をもってしても、状況は改善しないかもしれない)。

優雅に上司から離れる

 上司の行動が変わらず、危機が続くようであれば、社内の別の部署へ異動する機会を探索することも選択肢となる。そのためには、自分を必要とするかもしれない他部署の管理職を見つけ、自分を売り込み、スカウトしてもらう必要がある。売り込みでは、現在の上司についての否定的な発言や噂話は控え、自分の長所や成果を強調することに集中する。他部署で働くことになっても、現在の上司と全く会わずにすむわけではないからだ。

辞めてもっと良い上司を探す

 以上のどれも効果がない場合、転職を真剣に考える必要がある。ただし、転職した先で、同じような、あるいはもっと悪い状況に遭遇するリスクはゼロではない。転職先の下調べを慎重に行う。調査を通じて、自身の能力の価値や、自身を必要とする業界や企業も明らかになる可能性がある。

セルフケアのために専門知識や専門家を活用する

 どのような選択肢を試みる場合にも、ストレスから自分の身を守る必要がある。メンタルヘルス、レジリエンスなど、セルフケアに役立つ研修を受ける機会を活用する。コーチ、メンター、セラピストなど、専門家の力が借りられるなら、それも選択肢となる。

組織ができること

  職場の有害行動は、三つの要因で悪化する。(1)精神的にも時間的にも追い詰められた職場は大きなストレス発生源となる。(2)ストレスが高いと人々がより有害な行動をしがちであり、その結果、職場のストレスはさらに高まる。(3)ストレスにさらされ続けた人々が、回復力を失い、パフォーマンスが低下するので、職場は精神的にも時間的にも、ますます追い詰められる。こうした悪循環を阻止するという観点で施策を設計する。

マネジャーをトレーニングする

 McKinseyの最近の調査(What employees say matters most to motivate performance、August 21, 2024)によれば、従業員のモチベーションを高め成果を出すためには、業績管理制度をあれこれいじくり回すよりも「マネジャーに適切な目標の立て方とフィードバックの仕方をトレーニングする」ほうがはるかに効果的だ。職場が成果を出すのは、部下をがむしゃらに働かせるからではなく、マネジャーが適切なマネジメントをするからだ。

従業員同士が人的ネットワークを広げる機会を提供する

 多くの人々は、職場で数人の身内といつも一緒に過ごす習慣を身につけてしまう。閉鎖的小集団は、有害行動の温床となるだけでなく、隠蔽もしてしまう。交流会にとどまらず、プロジェクトや研修などでも部門横断的な活動の場を提供する。あわせて、レジリエンスやメンタルヘルスのトレーニングも提供する。

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