(21)『GARAGE』(ガラージュ)【おすすめアニメ(ゲーム)感想】
今夜はPCゲーム『GARAGE』の感想について述べたいと思います。
本作はアニメ作品ではなく、PCゲームなのですが、物語性やデザイン、映像美がきわめて素晴らしく、芸術性の高い映像作品ともいえるので、【おすすめアニメ】の枠で紹介したいと思います。
※おすすめとは言ったものの本作はすでに絶版であるので、そこは申し訳なく、ご容赦お願い。
※扉絵:『GARAGE』よりファンアートとして(描き:鈴原ジータ)
『GARAGE』(ガラージュ)
(1999) Direction: 作場知生、Producer: 生田昌弘・河合彰彦、Program: 林暁也、Music, Sound Effect: 田中トモノリ、Modeling: 伊藤玄悟・渡邉博紀、Manual Design: 河合あみこ、製作・発売:株式会社キノトロープ、販売:東芝EMI株式会社
あらすじ
「私」は汚水上に構築された木造と機械による異世界において唐突に目覚める。しかし、自分が誰であり、何故ここにいるのか、何が目的であったのか全て忘却していた。
機械生命体となった「私」は汚水に生息する蛙や蟹を捕獲し、それを白瓦斯屋スタンプ(貨幣)と交換し、それで順応度と給油(白瓦斯)を補給する。
「私」はこの世界の秘密と「自分が何者であったのか」を解き明かすため、様々な機械生命体と接触しながら、事件の核心へと突き進んでゆく。
オリジナル版ゲームについて
本作はPCゲームソフトとして、上記の会社から販売されたもので、リリースは1999年と古く、すでに絶版となっています。
わたしはオリジナル版(当時¥4,800)をやってみました(Windows 10でも問題なく稼働)。
ただ、現在、オリジナル版は絶版であるものの、スマホ用ゲームアプリとして復刻しているようです(引用動画参照:わたしはスマホ復刻版は知らない)。
※わたしは身内からオリジナル版を頂いたのですが、ゲーム本体のCD-ROM、付属の地図(特殊な紙製)は現存するものの、残念ながら外箱及びガラージュデザインのフォントは失われてました。
ちなみに、わたしは本作と「フリーセル」及び「無料の麻雀」以外のPC(電子)ゲームをやったことがないので、ゲームについては基本詳しくありません。
作場知生のアート作品として
もし「作場知生」のお名前をご存じある方なら、ゲーム内の絵を見ればすぐに気づかれると思いますが、本作は完全に『作場知生』の世界観そのもので、いわば氏のアート(芸術)作品のひとつと言えるかもしれません。
とはいえ『作場知生』の作品を目にすることは難しく、わたしは明確な氏の作品を目にしたのは総合画集『幻想耽美』(パイ・インターナショナル刊)の他には、本作『GARAGE』しかないのです。
映像と音楽などの要素
なお映像、美術、デザイン、音楽およびストーリーのいずれもが美麗で素晴らしいです。
またこれらすべての要素は統一的に作り上げられて、本作の世界観を見事に表現しています。
世界観を表現する基本的なデザインについては、昨今流行りの「異世界」ものと完全に異なり、和的(日本的)であり、大正時代のような、どこか古く懐かしいような雰囲気があります。
本作の全体のダウナー感が、わたしの好む感性にぴったりとゆうか。
(疲れ切った日々にはダウナー系ですよ)
(動画引用元)『GARAGE ガラージュ 予告編』(Youtube: SmokymonkeyS公式)
キャラクターデザイン
本作のキャラクターは3種あり、視聴者がわに立つ主人公を含めた機械たち、そして異形がわとして存在する女性キャラ、霊的な存在としてある「カゲ」たち。
いずれも作場知生のアート作品に通ずるデザインですが、異形で不気味なキャラクターが主人公たち実世界の住人であり、
逆に美麗で耽美であるキャラクターがその世界の異形のものとして描かれている点が面白いです。
ストーリーについて
基本的には謎を解き明かしながら、次のステップへと進んでゆくアドベンチャーゲームの類なのですが、特に謎を解かなくても延々と生活してゆくこともできる設定が面白いと感じます。(なんとゆうか、生活感のあるゲーム?)
ストーリーの主軸は「自分とは何者だろうか」とするテーマと感じました。
そして、本作の基盤となっているものは現実と幻想の転換、あるいは幻想こそ現実世界なのだとする思想ではないかと感じました。
そして、上記の主題を踏まえたうえで、本作のエンディング(ゲームクリアー)はかなり驚くべき内容で、その点でこの他の通常の小説やコミックやアニメ作品でも見られないものです。