4割打者が出てこない理由
みなさんおはようございます。本日は野球と生物学を絡めた話をします。この表紙にある、スティーヴン・ジェイ・グールドという人はアメリカの大の野球好きな生物学者です。かつて読んだ私の本から紹介します。
ここで紹介されている本では4割打者が絶滅した理由について書かれていました。まずシーズン通して4割を打った打者は日本プロ野球では存在していません。かつて巨人にいたクロマティが規定打席に到達した際4割を超えていたそうですが、試合に出続けなければならず、4割を切ってしまったとのことです。今のNPBの記録を調べてみたら、最高打率はランディ・バースの0.389でした。あと少しで4割行きますね。
海の向こうでは、最近だと、イチロー選手が最多安打記録を出した年の打率が載っていましたが、それでも0.372だったそうです。まあ彼の場合、打席数が多いため、それが原因で4割を逃したとも言えますが、いずれにせよMLBでも最後の4割打者は1941年のテッド・ウィリアムスまで遡らなければなりません。これは戦前の話です。そんな昔まで戻らなければ4割打者は存在しません。
ではこのグールドという学者の意見を見ていきます。どうやら彼によると野球のレベルが下がったことではなく、野球がスポーツとして成熟したからこそ4割打者が出なくなったと言っています。当然ピッチャーも当時と比べればあり得ないほどレベルアップしています。守備だって相当鍛えられています。そうなると打者のレベルが上がってもなかなかヒットは打てません。今や3割打てれば一流選手ですが、それほどまでに打率を稼ぐことは難しくなりました。
考えてみれば当然で野球全体のレベルが上がったことは投球速度を見てもわかります。100マイルピッチャーなんてほどんどいなかった昔と比べて、今やそこらへんにゴロゴロいます。むしろ速球が100マイルないと物足りなく感じるほどにもなりました。こうなれば打者はもっと大変です。ここだけ考えても4割打者が消えた理由も理解できますね。それに統計の世界でもそうですが、物事は成熟してくると、バラツキが少なくなります。飛びぬけて良い成績もなければ、悪い成績もなくなります。そう考えても野球が成熟したから、という理由は納得できます。
それで今後の野球界でもし4割打者が出て来たとすれば、それは本物のすごい奴となるでしょう。これだけ投球レベルの上がった世界でそれだけの成績を収められるということで。そういえば野球の記録って現代だと塗り替え不可能なものも多く存在します。NPBに限って言えば、400勝投手なんて絶対現れないと言えましょう。あれは投手の分業がなされていなかった時代だからこそできた記録です。普通に考えて、1年で20勝するだけでもすごいのに、それを20年連続でしなければなりません。今だったらまずそれだけ多く登板すらさせてもらえないでしょう。いろんな生涯記録はありますが、野球の成熟した現代で何か抜けそうな記録はあるだろうか?ホームランに全振りすればワンチャン王さんの記録は抜けるかもしれないが、それでもシーズン記録がせいぜいなのかもしれない。それほど成熟したスポーツで記録を残すというのは難しいのかもしれない。
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