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暗闇の魅力

昔、ガス灯をつける作業員に憧れた事がある。

ゴッホの描く夜の街の様な世界で孤独に働く作業員。誰かの幸せの為に淡々とガス灯に火を灯す姿がカッコ良くみえた。

おそらくはイギリスの小説の影響なのか石畳の道路に煉瓦の街並みがガス灯の柔らかな灯りを吸い込み冷えるロンドンの霧を払うかのように仄めくのだ。

そんなイメージがあり私は暗闇を好いているようだ。

都会の濁った空気と狂った電飾で星は見えないけれどずっとそこにある。

何万年前の星明かりが届くのだ。

なのにみんな電飾で着飾り空を見ない。

暗闇にはわからない何かが静かにこちらを伺っている、幽玄な世界、泉鏡花の天守閣の姫が居るかも知れないし誰かの屋根裏に繋がっているかも知れない。

ランプや行灯で過ごす夜はとても良いだろうなと普通に思うのだ。
着物を着て黄昏に晩酌など粋な時間を過ごしたいのだ最高級の熊本の瑞鷹を温燗でやりながら月を愛でたいものだ。



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