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『「いい質問」が人を動かす』から…

弁護士の谷原誠さんの著書。
夏休み、学習会の仲間と一緒に読み進めた1冊。

こういったビジネス書、普段は読まないのだが、時間がある今だからこそ、読んでみると、教育現場で、子どもとのかかわりの中で生かしていきたい大切にしたいことがたくさん発見される。

「質問=発問」の効果

 「質問」は授業場面で考えると、発問である。また、教育現場で行われている生徒指導場面では、「質問」を使う。
 「質問(発問)」には、「思考」と「答え」の強制力があるという。
このため、人を動かすには、命令ではなく、「質問」をすることだといわれている。
 これを踏まえると、授業場面では、よい発問が深い思考を生み出し、満足感や達成感のある授業につながるということだろう。また、生徒指導場面でも、押しつけや叱責ではなく、よい質問を繰り返し、対話していく中で、子どもたちの気付きを促し、成長につなげることになるだろう。

ティッピングポイントを生み出す

 急に会話が広がり始め、テンションが上がる様子をティッピングポイントというらしい。授業場面において、このティッピングポイントをいかに作れるかが大事だとおもう。

ティッピングポイントが来るのは、
 1.自信のある話題
 2.関心のある話題
 3.心地よい話題

だと書かれていた。
 つまり、話合い・対話で子どもたちが盛り上がる、熱中する場面とは、
1.絶対に答えが分かる、自分の中で理解できるとき
2.題・材が子どもたちにとって、身近、話題性がある、子ども自身が話し  
  たくなるとき
3.自分の成功体験、プラスの自分事化ができるとき
と言えるのではないか。

 1学期の算数の授業場面で、「1」の場面に出くわしたことを思い出した。「2けたの数のわり算」の活用場面であった。
 授業はじめ、課題が提示され、個人思考をしていたとき、何となく子どもたちの空気が重い。「分からない」「苦しい」「やりたくない」「面倒」という感じが伝わってきた。そのため、みんなで考えの見通しをもったり、話し合ったりする機会を増やした。
 一人の男の子は、題意をしっかり捉え、最初から良い表情で熱中していた。その子との対話を繰り返す中で、ほかのみんなもだんだん表情がよくなり、「ああ、なるほど!「こういこと?」「こうだからこう」というようにだんだん話合いに熱が入ったことを感じた。
 自分の中で内容がしっかり理解でき、自信があるからこそ、説明したい、伝えたいというさらなる思いが高まり、それが、みんなにも広がったのだろうと思う。

その気にされる質問

 「意見を押しつけず、相手が動きたくなるような質問をする」ことについて書かれてあった。
 「人は、他人から押しつけられることは嫌いですが、自分で決めたことには従順に従います」とあった。これは、まさに私のヒットポイントだった。
 授業場面でも、内容から方法、ゴールまで、すべて決められていて教えられる授業だと、子どもたちの意欲は高まらず、力もつかないだろう。
 「大きなゴールを示し、方法を選ばせる。」「最終的な言語活動を選択させる」「どこまでやるか決定を委ねる」
 このように選択場面を増やし、子どもたちに委ねる場面を大きくしていくことが求められると感じる。自由進度学習や『学び合い』の考え方に通じるものだろう。

 「まずは感情を動かし、その後理性に訴えかける

この順序性は、授業づくりをするうえでも、とても大切だろう。常に心に留めておきたい。


 教師は、日々の授業や生徒指導において、学び方や生き方をともに創っていく存在なんだろうなと常々思う。この観点からすると、本人にいかに自分事化させるかも大切な視点である。本人の思考を誘発する「いい質問」が自然にできるようにありたい。

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