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家庭教師の授業の進め方(講師になりたい人向け)具体的な会話例付

初めに

私は高校三年生から現在(大学四年生)まで家庭教師を続けています.

家庭教師から授業を受けたり,家庭教師として教えたりしたことのない人は想像もつかないでしょう.この記事を読めば,最低限の授業の進め方をイメージできるはずです.

また,すでに講師として活躍されている方もこの記事で自身の授業を確認してみてください.

前提

家庭教師はご家庭から依頼を受けて授業をしています.ゆえに,そのご家庭の要望に合った(課題を解決する)指導を行わなくてはなりません.

生徒が塾に行っているので,問題演習のサポートだけを依頼されるご家庭もあります.また,学校の授業が理解できないので,その復習を依頼されるご家庭もあります.

家庭教師をやる目的については,初めてご家庭に伺った時に確認し,定期的に見直さなくてはならないものです.

今回は,細かい指導の部分は置いておいて,新しい単元を教えることを依頼されたことを想定してまとめていきます.
ただし,ほかの要望の場合でも流れとしてはかなり近いのではないかと思います.

授業の流れ

授業の流れは数学で解説していますが,ほかの科目でも同じように実施できると思います.

1.挨拶

単純に,挨拶は大事です.

とはいっても長い挨拶は必要なく,
講師「こんばんは」
生徒「こんばんは」
講師「じゃあ,今日も授業を始めていきましょう」
生徒「お願いします」
ぐらいの軽いもので結構です.

生徒のモチベーションやテンションを軽く確認しておきましょう.

2.宿題チェック

前回の授業で出した宿題をチェックしましょう.

まだ,生徒の気持ちが勉強に向いていないことが多いので,やってきたことをしっかり褒めてあげましょう.ノートの取り方や問題の解き方もよく褒めてあげてください.

生徒ができなかった問題は生徒のノートを見て,出来ていないところにヒントを出してみましょう.

(予め宿題のフィードバックをメールなどで送っている場合も改めて,口頭でフィードバックを伝えましょう.)

具体的な会話は以下のようになります.
講師「宿題のチェックをまずはしましょう.」
生徒「今回の宿題はここからです.」
講師「よく頑張りました.図を使って問題を進められているし,間違えた問題の直しもできていますね.18ページの6番の問題は分からなかったみたいだけど,7行目の式でyについて解いてみるとどうなる?」
生徒「ちょっとやってみます.」
生徒(問題を解く)
生徒「できました.」
講師「ここはy座標が一致することが大事な条件になっているので,計算の中で忘れないようにしましょう.でも,それ以外は完璧ですよ.次の21ページの4番の問題も同じようにできないですか?」

このような会話を続けて宿題のフィードバックをしましょう.

3.前回の授業の復習

新しい単元を勉強し始める前に前回の単元を復習するには3つの利点があります.

  1. 生徒の気持ちの切り替えができる.(生活→勉強)

  2. 生徒の前回の授業の記憶を掘り返すことができる.

  3. 新しい単元の理解度が向上する.

宿題のチェックで生徒の気持ちが切り替わっている場合がほとんどですが,ダメ押しとして,前回の復習で気持ちを切り替えてもらいます.

様々な研究から,間隔を置いて学習を進めたほうが定着率が高くなることがい示されています.前回の授業から間隔をあけることができているので,その復習をできるのはとても大事です.

また,学校の勉強は古い単元を土台にして新しい単元が構成される場合がほとんどです.よって新しい単元を学ぶ前に前回の単元を復習しておけば,効率よく学習を進めることができます.

前回の単元の復習の具体的な方法は以下の通りです.

  1. 前回始めたページを開いてもらう.

  2. ページをめくりながらクイズを出していく.

具体的な会話としては以下のようになります.

講師「では前回の内容を復習しましょう.前回始めた15ページを開いてください」
生徒「開けました」
講師「じゃあ,直角三角形はどんな三角形でしたっけ?」
生徒「直角な角を持つ三角形です.」
講師「あっています!復習できていますね!では,鋭角三角形とはどのような三角形か覚えてますか?」
生徒「鋭角な角を持った三角形だった気がします...」
講師「惜しい,15ページの下の方を見てみてください.なんて書いてますか?」
生徒「3つの角すべてが鋭角な三角形と書いてます.」
講師「そうです.例えば,1つの角が20度でも,残り2つの角が130度と30度では鋭角三角形とは言わないですよね.」
生徒「確かに」
講師「逆に鈍角三角形とはどんな三角形ですか?」
......

このような会話を続けて,前回の宿題の復習をしていきます.

基本の考え方の説明

いよいよ新しい単元の学習に入ります.

まずは生徒が問題を解く前に基本の考え方を説明してあげましょう.例題を解くために必要な知識をインプットしてあげるイメージです.(例題がない場合はなるべく簡単な問題を選びましょう.)

いきなり例題を解いてしまうと,全く見たことのない問題に混乱してしまうことが多いです.これでは,時間の割に学習の効率が良くないので,簡単な解説を先に挟みましょう.

ここでは例題を解ける程度の説明だけでよく,細かい部分は省いて説明しましょう.また,話した内容が一目でわかるようにノートに書いてまとめましょう.

また,説明後に生徒へ質問やわからないことがないかの確認を取りましょう.自発的に質問ができる生徒はほぼいません.講師の側から聞いてあげましょう.

具体的な会話としては以下のようになります.

講師「では今日は20ページから新しい単元を始めていきましょう.」
生徒「はい」
講師「まずは三平方の定理というのを学んでいきます.こんな感じ(以下)の直角三角形があって,それぞれを辺の長さをa,b,cと置いたとしましょう.」

説明をしながら書く図
直角三角形とその辺の長さ

講師「この時にa^2+b^2=c^2が成り立つということです.ここまでノートに板書を書いておいてください.」
生徒(板書をとる)
生徒「かけました.」
講師「ここまで何か質問やわからないことありますか」
生徒「大丈夫です.」

説明をしながら書く図
定理の内容が一目でわかるようにまとめる.

このような会話で生徒に基本的な知識をインプットしましょう.

例題を解く

次に基本的な知識を使いつつ,生徒と一緒に例題を解きます.基本的な知識を教えただけで,解けるとは限りません.よって,一緒に解くことで,解けることを確認しましょう.

ここでは生徒に質問を投げかけることで,穴埋め問題のようにして問題を解いていきます.ここで聞く質問は生徒が瞬発的に答えられるような質問で構いません.例えば,問題文の中に出ている数字を聞くなどです.
講師の質問に答えられたことが生徒の自信になります.

また,私はよく生徒に問題文の音読をさせています.問題文の意味合いをうまく捉えられない生徒がいるので,音読は効果的な方法です.
また,講師が問題を考えたり,指導方針を考える時間稼ぎにもなります.(割と大事です.)

もし,一緒に解いている中で理解がうまくいっていないことが確認できれば,一緒に解く問題数を増やしたり,解説を増やしましょう.

具体的な会話は以下の通りです.

講師「では20ページの例題を一緒に解いてみましょう.」
生徒「はい,次のxの値を求めなさい.」

例題

講師「OKです.ではこの三角形は何という三角形ですか」
生徒「これは直角三角形です.」
講師「そうですね.あっています.では先ほどの三平方の定理を使って,xを求めてみましょう.三平方の定理のaとbに入るものは何ですか」
生徒「3と4です.」
講師「いいですね.ではcに入るものは何ですか」
生徒「xです.」
講師「あってます.じゃあどのような方程式を作ることができますか?」
生徒「3^2+4^2=x^2です.」
講師「完璧です.計算すると,x=いくらですか」
生徒「ちょっと計算します…x=5です.」
講師「よく頑張りました.いいね.ここまで何か質問ありますか」
生徒「ないです」

このような会話で例題を一緒に解いていきましょう.

類題を解く

理解→解けるに変換していく工程が類題を解くプロセスになります.
講師が言葉を尽くして説明をしても,実際に生徒が手を動かさないと,生徒の学力は伸びません.

類題を生徒一人で解く時間を作ってあげます.(類題と書きましたが,例題と似た問題なら構いません)

問題を解くときはざっくりでもいいので,時間制限を設けましょう.テストでの時間配分の対策になる他,時間を意識して勉強する癖をつけられます.

また,問題は一問単位で解いてもらいましょう.例題を一緒に解いたとはいえ,生徒の理解はまだ不安定です.間違った方法で問題を解き進めてしまう懸念があります.

生徒の出した答えが正しくても,解き方が正確ではない場合もよくあります.生徒のノートを見せてもらい,解き方が正しいかもチェックしましょう.生徒に解き方を解説してもらうのも効果的です.

具体的な会話は以下の通りです.

類題

講師「20ページの類題を解いていきましょう.まずは(1)を1分ぐらいでやってみてください.」
生徒(問題を解く)
生徒「できました.答えは13ですか」
講師「あっています.いいですね.念のため,ノートを見せてください.」
生徒(ノートを見せる)
講師(ノートで回答を確認する)
講師「ありがとうございます.問題なさそうですね.次の(2)も一分ぐらいでやってみましょう.」
生徒(問題を解く)
生徒「できました.答えは√29ですか」
講師「あれ,答えがずれていますね.ノートを見せてください.」
生徒(ノートを見せる)
講師(ノートで回答を確認する)
講師「今回はxが直角三角形の斜辺ではない辺の長さになっていますよね.c^2=a^2+b^2の式と照らし合わせて,書いてくれたx^2=2^2+5^2っていう式はあっているかな」
生徒「なるほど,正しくは5^2=2^2+x^2ですね.」
講師「そうです.大丈夫です.では正しいxは」
生徒「√21です」
講師「完璧です.ここまで何か質問ありますか.」
生徒「大丈夫です」

このような会話で知識の定着化を行いましょう.

練習問題を解く

類題を1人で解いたことで,生徒には自信ができていますし,知識が問題を解けるレベルまで定着しています.よって,類題で安定して回答ができているようであれば,練習問題は宿題に回しても構いません.

逆に類題で理解度に心配が残るようであれば,追加で練習問題を解くのもよいでしょう.
練習問題の解き方は基本的に類題の時と同様です.

終わりに

家庭教師の授業の流れについて想像がついてきたでしょうか.できるだけ生徒と講師の会話を取り入れて書いたつもりです.全体的には,生徒が混乱しないように,丁寧に授業を進めることが大切だと思います.
良い家庭教師を一緒に目指しましょう.


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