よくしゃべる子
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不登校の子たち、コミュニケーションに関しては大きく二つに分かれます。
あまり言葉で伝えてこない子と、とにかくよくしゃべる子です。
おおむね、よくしゃべる子の方が予後(その後の回復状況)が良いような気がします。
話し ながら徐々に自分の中で考えやイメージがまとまっていくのでしょうね。
とにかく母親をつかまえて何時間も話してくるミツオ君。
仕事で疲れているお母さんが眠そうな顔をちょっとでも見せると「聞いてないんでしょ!」と 攻め立ててくるのだそうです。
彼は、有名私立大学付属高校に入学した直後から登校できなくなっていました。
お母さんは 「それに付き合うのがつらい、自分の代わりに話を聴いてやってほしい。」と相談に来ました。
フリースペース※1にも2,3度顔を出しましたが、それより何より自分の話をきいてほしい感じでした。
私相手に
とにかくよくしゃべる! しゃべる!!
何時間でも話しをしてきました。
そのうち、彼の話は堂々巡りになるのですが。
まあ、これではお母さんも音を上げるはず。
しかし、そんなことを続けながらミツオ君は徐々に自分の道を見つけていきました。
だんだ ん話す内容もまとまってきて、時間も多少短くなってきました。
そして、高認試験を受けて二度目の医学部受験をしたときのことです。
教授陣を相手にした二次面接で、自分の不登校時代の状況やその時の気持ちをとうとうと語 ってきたそうです。
「教授に『話してくれてありがとう。』って言われたよ。」と意気揚々帰って きたミツオ君。
案の定その医学部に合格し、今は立派な青年医師として活躍しています。
私たちも頭の中で堂々巡りをしてどうしようもなくなった時、誰かに話を聴いてもらうこと は大いに助けになりますね。
相手に答えを求めているつもりで話していても、実は話しをすることで自分の中で考えがま とまっていくのでしょうね。
(文中ではプライバシー保護の観点から仮名とし、内容も多少変えてあります)
※1フリースペース
フリースペース雲 WAVOC(早稲田大学平山郁夫ボランティアセンター)のボランティア学生中心のフリースペース。現在は日曜午後開催