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こどもの日いつから母をははと呼ぶ いつから自分の親のことをよそで他人に言うときに、父や母…
鉄線花鉄路の果てにある昨日 鉄線花の蔓はしなやかで勁く、その線の美しさは時にまっすぐに、…
天道虫背負った星を知らずして 天道虫は自分がいくつ星を背負っているのか知らないだろう。七…
春雨の線カッターの傷に似て 今日も一日、雨が降っていた。 雨降りの日でも、降り方の強弱や…
黒鍵に遅日の影の長くあり 虚脱している。あの日の私も、今だって私は。 小学一年生の頃、音…
愛別離苦たんぽぽされど風を待つ 早春の野のまだ肌寒い空気の中に、黄色い花弁を凛と広げてい…
りっしんべん書きて春霖窓を落つ 雨が降っている。 いつまでも止まない、長い雨だ。この季節の長雨を春霖というらしい。 結露して曇った窓に誰かが触れ、そこだけが透明に外の世界を写している。窓の外側を雨粒が垂れていく。 水滴の塊の落ちていく軌跡が、何か文字を描いているようにも見える。 りっしんべん。 ふと、そう思った。人間の心を表す漢字の部首だ。 りっしんべん。 この雨はどこに落ちていくのだろう。 雨が降っている。長い雨だ。 心にまで染みてきそうな、長い雨なのだ
