物語化できないこともある
別のコラムでもちょっと書いたんですけど、人は勝手に現実を物語にしてしまうような性質がある生き物だと思います。人はなぜ生きるのか、とかの根源的な問いからして、そもそも人が生まれて死ぬことに物語っていうのは備わってはいないんですよね。はっきり言ってしまえば、単なる現象でしかなくて、そこに答えはないんです。
けれども、人はどうしても自分が生きる意味を考えてしまうし、自分の人生を物語化するし、それは他人の人生でもそうですけれど、ストーリーの形で人生だったり生きることを理解してしまうという癖があると思うんですよね。だからこそ僕みたいな小説家っていう仕事が成り立つ面もあるんですけれど。人がストーリーを求めていないのであれば、物語作家の仕事も不要になってしまうので。そういう意味では、物語を作るという仕事は人間的でもあるのかなと思うんですけど。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?