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2024年のふりかえり

2024年もまもなく終わるということで、今年の振り返りを簡単にしていこうと思います。ちなみに今日の写真は、11月に写真家の宇佐美亮さんに撮ってもらったうちの1枚です。作家っぽくて気に入っています。

まず1月、『小説新潮』で長編「沸点」の連載を開始しました。この作品はボクシングに関する物語なんですが、年内に無事終了いたしまして、今後は書籍化に向けた作業の諸々を進めていくことになっております。ただ、かなり大きい手術が必要なりそうで、刊行は少し先になるかと思います。また本になるタイミングが決まりましたら、各所で告知していきたいと思います。

2月はあんまり動きがなかったんですが、3月には「横浜ネイバーズ」シリーズの第4巻『人生賭博』が刊行されました。もう一つ大きなイベントとして、昨年刊行した『楽園の犬』が日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)の候補に選出されました。こちらは5月に選考会があり、今回も受賞ならずという結果でした。ただ、昨年に引き続き2年連続でノミネートされたこと自体が非常にありがたいことですし、これを機に少しでも読者の方が増えたのであればありがたいと思っています。

4月にはその『楽園の犬』がうつのみやという書店さんが主催する「うつのみや大賞」の文芸書部門を受賞しました。書店さんが主催する賞をいただくのはこれが2回目でして、うつのみや大賞をいただけたことで『楽園の犬』という作品が救われた気分でした。本当にありがとうございます。

同じ月には初めて解説を担当した北森鴻先生の『凶笑面』が刊行されました。これは角川文庫からの復刊なんですけれど、「蓮丈那智フィールドファイル」というシリーズの第1巻です。その解説を長年のファンである私がさせてもらうということで、とても印象深い仕事でした。このシリーズはすごく好評で、重版も続々と決まっているそうです。

5月には単行本『われは熊楠』が刊行されました。この作品は翌月、直木三十五賞の候補に選ばれまして、7月に選考会が行われました。こちらも受賞ならずだったんですけれど、初めて直木賞の候補になったことでかなり身辺が慌ただしくなりまして、直木賞候補になることの重みを感じた出来事でした。

6月には『最後の鑑定人』のシリーズ作品である単行本『科捜研の砦』が刊行されました。7月には「横浜ネイバーズ」シリーズの第5巻『ディテクティブ・ハイ』も刊行されています。5月、6月、7月と新刊が続いた形ですね。

8月は特に動きがなかったんですけれど、9月には単行本『舞台には誰もいない』と文庫『付き添うひと』が刊行されました。『付き添うひと』は単行本から2年経っての文庫化でして、解説を弁護士の山下敏雅先生に書いていただきました。この解説がまた素晴らしいので、それだけでも是非読んでほしいと思います。この月にはPHP研究所の『WEB文蔵』で「海を詠う」という新連載が始まりました。

10月には単行本『夜更けより静かな場所』と文庫『この夜が明ければ』が刊行されました。『この夜が明ければ』は単行本から3年経っての文庫化です。こちらの解説は未来屋書店の福原さんという書店員の方に書いていただいたんですけれど、これもまた作品への愛情があふれる素敵な解説です。自分が解説を書いたからこそ、人に解説を書いてもらうことのありがたみが余計に感じられるようになりました。

11月には文庫オリジナルの『いつも駅からだった』という本が刊行されました。こちらの本は少し変わってまして、謎解きと小説のコラボレーションという形になっています。小説の中だけでなく、この本そのものにも謎が隠されているので、チャレンジしていただきたいです。同じ月には『小説すばる』で「風車と巨人」という小説の連載が始まりました。

12月に発売された『小説すばる』では、同じ1987年生まれの作家4人で座談会をさせてもらいました。木爾チレンさん、須藤古都離さん、渡辺優さん、そして私というメンバーです。これも楽しかった。

他にも書ききれなかった仕事はたくさんあって、岸田奈美さんや浅倉秋成さんと対談をさせてもらったり、札幌・横浜・福井でサイン会をさせてもらったり、京王電鉄さんとの企画第2弾がはじまったり、各所でエッセイを書いたり、インタビューをしていただいたり、読み切りの短編を書いたりと、今年もいろんなことをやりました。

個人的には、さらに仕事の幅が広がった1年だったなと思います。文学賞の候補になったことも含めて、できすぎなくらいの1年でした。

来年に向けての抱負は、本を出すペースをもう少しうまくコントロールしていきたいというところと、自分の「核」になるような作品づくりを意識的に進めていきたいということですかね。

今年も大晦日まで仕事をしてお正月を仕事始めにしようかと思っていますけれども、健康には気をつけながら、2025年も朗らかに作家生活を送っていきたいと思っております。皆さん、良いお年を!

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