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Tヒュームの秋

今年の秋は
「Tヒュームの秋」になりそう。

彼の「第一アリア集、音楽的ユーモア」には
  死ぬこと
  生きること
  またいいこと
の、三連小品がある。

曲集内の小品の分け方は
解釈がそれぞれあると思うが
あくまで、個人のイメージです。

名曲だし、弾きたいけれど
「死ぬこと」なんていうタイトルを
プログラムに持ってきたら
演奏会のお客様やご主催者様は
どの様に思われるだろうか。

もちろん、一人で決めることではないので
周りと足並みを揃えつつ決めるけれど
ヒュームは、
決して非常識な話をしているわけでも
不気味な話をしているわけでもないので
ヴィオラダガンバ奏者として
彼の真意を忖度しながら
ご紹介していくのが
私のお役目ではないだろうか。

※※※

死生観は、文化圏それぞれ
人それぞれで
安易に立ち入ることは憚れるが
軍人でもあった彼の
わざわざ「死ぬこと」とタイトルにつけられた
その真意はどのようなものだったのだろうか。

「人は死んだら終わり」と
信じている人もいるけれど
例えば、ヨーロッパ貴族のゲーム用として
派生したタロットには
「死」というカードがある。

そこに込められる意味としては
物事、価値観、事象、時代、気運
そのどれも永遠に続くものではなく
必ず、終わりが来ること
だから、今を大切に味わうこと
ガサツを承知で要約すると
そのような内容だろうか。

例えば、人は育つ道程で
周囲から然るべき影響を受け
時には道徳観や善悪を教えられる。
成長に応じて
もし、それらを既成概念として
自己矛盾を感じたなら
葛藤があったとしても
古い自分と決別するかも知れない。

タロットの示す「死」である。

そして、その後に必ず「新しい自分」と出会い
アイデンティティの誕生を迎える。
手放しがあってこそ
誕生があるということ。

だから、「死ぬこと」の次が
「生きること」なのだろう。

※※※

「またいいこと」はなんだろうか。

それについては
また、どこかで⋯

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