Warau.
食事の間隔がまばらになり、
食べる量も減り、
それでも父は今日、
病棟の昼食に箸を伸ばし、
念入りに歯を磨く。
夢うつつを往き来しながら
掠れた声で家族を気遣う
帰り際、
カレーパンが食べたいと
言うので、
笑った。
好物は、変わらない。
後で買ってくるわ、と母。
お母さんが夜間の付き添いを
するんやって、と
伝えると
存外シッカリした声で
夜はえぇわ、と言うので
また、笑った
どれが正解なのか、
皆、手探りだけれど、
ひとり娘が50才になったことを
覚えていてくれた父に
私も母も、あかるく、
わらった。