広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第4話 リムのお家は、広島お好み焼き【皐月】(3)
第4話 リムのお家は、広島お好み焼き【皐月】(3)
「あらあら、みなさん、そんなに鼻息荒くどうかしたのかな~?」
そう、全国一位の店舗数を誇るお好み焼き県こと、広島県を代表する郷土料理──。
《《広島お好み焼き》》!
今年の春のG 7サミットでも大変に有名になった平和都市広島市……。
世界初の原子爆弾投下後の、広島の焼け野原の復興の礎……。
シンボルの一つでもある広島の味! 郷土料理!
そう、GHQから手に入れた【メリケン粉】、【小麦粉】をね。
何とかうまく活用できないか? と。
安芸は広島の主婦達、ママさん達が焼け野原の広島の街の中で、試行錯誤の上に。
野菜のくずを使用した簡単に作れ、食べられる栄養価の高い食べ物はないかと思案を重ねる。
特に戦後日本は敗戦国であり。
経済破綻をした国内では。
物資不足の上に大都市は皆、アメリカ軍のB29の無差別空襲により焼け野原状態……。
そして広島お好み焼きが誕生した広島市の街は。
世界で最初の核兵器──。原子爆弾の投下により。
やはり広島市の大半は焼け野原で、尚更何も無い。
品薄な状態……。
まあ、そんな状態の中でも広島のママ達は色々と知恵を絞り。
簡単で作れる栄養価の高い物はないかと思案。
錯誤して考え出された物が。
GHQから手に入れた【メリケン粉】を水に溶き。
熱く熱した鉄板や鍋などに、薄くクレープ状に敷いて焼き。
安く手に入れた野菜のクズなどを載せて焼き食べた物。
そして焼け野原の闇市などで、焼きながら販売をした物が。
【広島お好み焼き】の最初であり。
ルーツなのだと言った逸話がね、あると。
リムはパパから教えてもらったの。
でっ、家のパパも、自身で《《広島お好み焼き》》のお店を経営していた御婆さまから、幼い頃に教えてもらったらしいの。
でも、まあ、もしもリムの説明が少し違うようならごめんなさいね、と。
リムがみなさんへの謝罪と。
これまで【広島お好み焼き】の簡易的なルーツと説明をし終えたところで。
リムが話しをまた元に戻すけれど。
そんなお好み焼き県の激戦地でね。
超がつくほどの、元外国国籍の美人のママが女将をする《《広島のお好み焼き屋》》で。
広島の地方番組だけれど。
テレビでも紹介され。
そのテレビを観ていた広島の男性達を虜にした。
リムの母上が、「ふっ、ふふふっ」と妖艶に微笑みながら。
常連のお客さまへと。
それがいくら姉上目当て……。
漆黒の竜魔王妃レビィアさま命の親衛隊? のお兄さん、おじさん達であろうと。
母上の大人の色香……。
天界の神々さえ、北欧神のフレイヤさまか、家の母上さまか、どちらが妖艶、色香が高いか、甲乙つけがたいと唸らせた竜の太后陛下さまだから。
常連のお客さま達も、女神の微笑みを生で見ればコロリ。
「いいえ、エリカさん何でもありません」
「女将大丈夫です」
「我らはエリカ様の忠義者であり。僕ですから」と。
『へっ、へへへっ。ワン! 僕はお利巧さまでしょう?』と言った感じでね、チンチン──。
常連のお客さま達は、忠犬ハチ公さまのように大人しくなるから。
その後母上は、自身の瞳を閉じ、両手を胸元で握り絞め、魔法の呪文──詠唱を呟き始める。
だから大変に大人しく、良い子なったはずの常連のお客さま達、各自各々が。
自身の両眼、瞼を大きく開け──。
「な、何?」
「何だ? 何だ?」
「何が起きるんだ?」
「何が起きるの、エリカさん?」
常連のお客さま達は母上の、何を呟いているのかわからない。
この世界、日本の言葉ではない桃源郷の。
それも太古の言葉を使用しながら、魔法の詠唱をブツブツと呟くものだから。
常連のお客さま達は母上の様子を窺いながら困惑……。
ワッとまた騒めき始める。
う~ん、でもね?
常連のお客さま達の喧騒は、そんなに長くは続かない。
だってリムの母上が魔法の呪文の詠唱を唱え終え。
自身の閉じている瞼を開け──。
金色の瞳を輝かせると。
「ん? あれ、俺? 今まで何をしていたんだってけ?」と。
常連のお客さま達の中からこんな台詞が漏れると。
「う~ん、儂も今の今まで自身がしていたことが思い出せない」
「あっ! 俺もだ!」
「儂も、儂も」
「僕も先ほどまで何をしていたのかが、思い出せないし。何でエリカさんの顔を僕はジィーと見詰め、眺めているんだろう?」
常連のお客さま達、各自各々が困惑、動揺をしながら台詞を次から、次へと漏らしながら首を傾げ始める。
「みなさん、お好み焼きを食べていたんじゃないの?」
そんな様子の常連のお客さま達へとリムはね、優しく微笑みかけながら声をかけてあげるの。
「……ん? ああ、そうか、そうだよね。俺はお好み焼きを食べていたんだよね」
「あっ! 儂もだぁ!」
「あっ! 俺も!」
「僕の目の前にも食べかけのお好み焼きと。飲み終えた生ビールのジョッキが置いてあるから、お好み焼きを食べていたんだね……と、言うことは? 僕がエリカさんのことを見詰めていたのは生ビールのお代わりをしようと思っていたに違いない……」と。
常連のお客さまの一人が独り言のように呟き、終えるとね。
「エリカさん、生ビールのお代わりお願い!」
「あっ! 俺も生ビールのお代わりを女将お願い」
「あっ! 儂も女将たのむよ」
「俺もエリカさん、生ビールのお代わりお願い」と。
まあ、こんな感じと言うか?
裏ワザと言うか?
余りよくない方法なのだけれど。
リム達竜の巫女の主様は、いくら竜神さまだと言っても、まだお子さまだから、直ぐに桁が外れ、ムキになり。
『ガオー! ガオー!』と。
ゴ〇ラみたいに吠え、咆哮を放つから。
その処理をリム達、竜の巫女達が聞き分けのない主さまのサポートをこんな感じ……。
そう我が家の都合の悪いところだけ、お客さま達の記憶を消してしまうの。
まあ、リムや姉上、伯母上さま達がおこなう事が多いのだけれど。
リムの母上さまがいる時ならば、太后陛下さまにおねがいをするのが一番いいの。
だってリムの母上は豊穣と祝福、美を司る、竜の姫巫女さまだけれど。
特に母上のお得意な分野は、他人の記憶の抹消と操作だから、先ず間違えはないしに上手く。
この場の騒めき、喧騒を鎮め、鎮静化してくれる。
だからリムも母上に安心して嘆願ができる。
でもね、リムや姉上、伯母上さま達がお客さま達の記憶を改善すると偶にね。
『僕は誰? 誰なんでしょう?』
『あなた達は、一体誰ですか?』
『何で未成年者の僕が昼間でもないのに。夜のお好み焼きの店にいるんだろう?』
『こんな場所にお好み焼き屋なんてあったかな?』
『バブ、バブ、バブ。アァ~』と。
お客さま達の記憶が完全に消滅して、後で戻すのに大変な手間がかかることがあるの。
いくらリム達が竜の姫巫女……竜の神さまだと言っても完全じゃないのよ。
世界中に散らばる神さま達もね。
よく失敗をして、世界中の至るところで厄災を起こしているのは。
そう言うことなの。
だから今回は母上のお陰だと思いつつ。
JKの少女の癖に、扉の方へとモンローウォークで向かっていた姉上へと視線を変え──。
お互いが目と目が合えばニコリだよ。
でっ、その後は姉妹で仲良く。
『ホッ!』と胸を撫でおろし、安堵すれば。
パパの方へと近づき、家の我儘っ子のお尻をポン! と軽く叩き。
未だにプイ! プイ! と。
小さな子供のように不貞腐れ、拗ねているパパへとリムは。
『パパ~、少しは反省しなさいよね~。パパ、わかった~?』
リムは自身の眼を細め、無言でパパのことを叱るの。
でもね、我が家の主さま、竜神さまはね。
本当にお子さまみたいだからプイ! 余所見をして───。
リムと目を合わせないように振る舞うの。
だからリムは、『いぃ~だ! パパの大バカもの!』と怒声を吐いてやりたい衝動に駆られるのだけれど。
いつもね、少し間が開けば。
「リム、ごめんな」、
「エリカ、いつもすまない」
「レビィアにもいつも迷惑をかけるからごめんよ」と。
リム達竜の姫巫女さまの主さまは。
ちゃんとリム達、竜の姫巫女達へと謝罪をしてくれるの。
だからリムと母上、姉上の三人は、お互いが目を合わせると。
「クスッ」と微笑み。
「うぅん、パパいいよ」と。
リムが呟くと。
「いいえ、いいえ。旦那様。別に構いませんよ。私は二階のキッチンへと上がり。夕食の下準備だけしてきますね」と。
姉上が再度パパへと微笑み、扉を開け──。
お店の厨房を後にし、二階へと階段を使用しつつ向かい。
姉上の姿がなくなると。
リムの母上が「陛下~」と淡く、甘い声音でパパを呼ぶと。
「……ん? 何、エリカ?」と。
今まで姉上の華奢な背を、自身の瞳で追っていたパパが。
母上へと顔の向きと、視線を変えると。
〈ブチュ~〉だ。
ブチュー! と母上がパパの唇へと。
自身の唇を合わせるから。
「おぉおおおっ!」
「すげぇえええっ!」
「うひょぉおおおっ!」
「いきなりマスターと女将のキスシーンが始まったぁあああっ!」と。
常連のお客さま達の指定席となりつつある。
大きな作業鉄板のカウンター席から。
『うひゃ~!』、
『うひょう~!』と歓喜が上がるから。
「ちょっと母上~。パパに何をしているの~」と。
リムから母上……。
太后陛下さまへの異議申したてがあがる。
「別にいいじゃない。リム~。わらわと陛下は《《日本の国籍》》上でも夫婦なのだから。別に問題はないでしょう」、
「ふっ、ふふふっ」と。
我が国の太后陛下さまは、自身の眼を細め、妖艶に薄ら笑いを浮かべながらリムへと。
自分は貴女と違って、日本国の国籍上でもパパの妃なのだから。
他人の目があろうとも容赦なくキスができるのよ。
でも、貴女は、日本の国籍上では義理の娘養女だから出来ないでしょう。
『ふっ、ふふふっ』とあてつけがましく微笑んでくるから。
(キィー! 悔しい! 悔しいな! マジで悔しい!)と。
リムがお猿さんのように真っ赤な顔で地団駄を踏み!
『キッ、キキ!』となっていると。
「リム様」
「姫様」
「陛下」
「太后様」
「大変の仲の良いところ申し訳御座いません」と。
大変に悲しく、切ない声音で。
リムやパパ、母上を呼ぶ台詞が。
リム達の耳へと聞こえるから。
リム達は声の主へと視線を変えると。
母上の政務を助け、手伝ってくれている高級官僚のおじさま達が涙目で呼ぶから。
「あっ!」
「えっ!」
「あら」と。
リム達三人は仲良く驚嘆を漏らす。
「悪い、皆。俺が大きな声を出して。本当に悪かったよ。あっ、はははっ」と。
パパが笑い誤魔化しながらおじさま達へと謝罪を入れれば。
「リム、今直ぐ彼らに痛いの、痛いの、飛んでけぇをしてあげなさい」と。
母上がリムへと「ふっ、ふふふ」と笑いながら嘆願をしてくる。
高級官僚のおじさま達は、人間達よりも耳が大変によいから、パパの一喝を聞き、耳の中が破損し。
自身の耳が痛くて仕方がないようだから、涙目になっているのに。
この二人……。
パパと母上は笑い誤魔化しながらリムへと嘆願をしてくるから。
もうこの二人だけは、本当に似た者同士なのだからと思いつつ。
「はぁ、わかりました」と。
リムはパパと母上の二人へと大きな嘆息を漏らしつつ。了解しましたと告げると。
「おじさま達、いくわね」と告げ。
「痛いの、痛いの。飛んでけ~♪」と。
魔法の詠唱をリズムよく。
この後何度も奏で歌えばね。
「あっ!」
「いっ!」
「うっ!」
「おっ!」と。
おじさま達は、自身の両眼を大きく開けながら。
各自各々が驚嘆を漏らせば。
「痛いのが、本当に飛んだ」
「飛びました」
「リム姫様ありがとう」
「本当に感謝です」
リムが高級官僚のおじさま達へと施した治癒の魔法が利いた。
だから痛みが取れた。
だから自分達は感謝感激しましたと。
リムにお礼を告げてくれた。
でも、本当に悪いのは我が家の大黒柱の竜神さまだから。
「家のパパや母上……。伯母上達がいつも迷惑ばかりかけてごめんね」と。
高級官僚のおじさま達へと謝罪を入れ。
「今後も懲りずに頑張って、家の一族と民のために尽くし、奉公してね。よろしくおねがいします」
高級官僚のおじさま達を労いながら嘆願をする。
「リムさま。なんともありがたいお言葉を我等に……」
「我等のような者達に、そんな勿体ないお言葉を……」
「本当に有難う御座います。リム姫さま……」
「我等は、これから先も竜神様の忠義と。民のために尽くす所存で御座います。だからリム姫様、頭を上げてくだされ。お願いします……」
高級官僚のおじさま達は、頭を下げ嘆願をするリムへと快く。
今後も我が竜神の一族をサポートしてくれると告げてくれた。
だからリムはパパのお妃さまらしく。
自身の胸を撫でおろし、安堵するのだった。
◇◇◇
(カクヨム)
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