広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第13話 病室です! (5)
第13話 病室です! (5)
「ルミエルもおいで」と。
今度はパパの口から嗚咽を漏らしつつ。
自身の涙をハンカチで清楚に拭く。
貴婦人らしい振る舞いで悲しみに耽るルミエル叔母上さまへと。
パパが自分の許へとおいでと優しく手招きをすれば。
ルミエル叔母上さまは。
「はい。陛下……」と涙を拭きつつ、頷くと。
パパの許へと、カツカツとヒールの踵の音をゆっくりとした歩行で向かい。
パパの許へと到着すれば。
姉上と入れ替わるようにパパへと抱きつき。
「えぇ~、えぇ~。陛下~。陛下~。お父様が~。お父様が~」と。
ルミエル叔母上は、先ほどまで、リム達竜の姫巫女達の主である竜神さまに甘えながら泣いていた。
姉上よりも可愛く、乙女チックな様子と声音で泣きだすものだから。
流石にリムと姉上の二人も涙がピタリと止まってしまい。
唖然、呆然としながら。
ルミエル叔母上さまを、だけじゃないよね?
そう、この女性も泣くんだ。
と言うか?
この人は天と地とがひっくり返っても、絶対泣かないだろう? と、思われる。
戦神アテネのライバルである紅蓮の竜妃ことライザ伯母上さまが。
自身の口を大きく開け。
「うわぁあああん! うわぁあああっ! 母上様~!」と。
小さな子供のように泣き叫ぶものだから。
リムと姉上の二人は顔を顔を見合わせると。
爺やと母上へと視線を変えれば。
二人ともニコリと微笑み。
無言でリムと姉上へと。
偶にはこう言うこともありますよ、とでも言いたい顔をするから。
(そうか。そうななんだ)と。
リムは自身の脳裏で呟くと。
またリムの偉大な二人の伯母上、叔母上さまの様子を。
姉上のように唖然、呆然と見詰める。
◇◇◇