広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第13話 病室です! (3)
第13話 病室です! (3)
「うわぁあああん! 旦那様~! お父様がぁっ! お父様がぁっ!」と。
パパに抱きついた姉上も、リムに続くように。
お父さまの身体の容態が心配で仕方がないと泣き始めだすから。
少し泣くのをやめて、姉上の様子を窺っていたリムもまた、姉上につられるように。
「うわぁあああっ! うわぁあああっ! お父さまがぁっ! お父さまがぁっ!」と。
お母さまの腕の中で甘え、泣き始めだすと。
「うわぁあああん! うわぁあああっ!」
「しく、しく、ひく」と。
泣き声が二人分追加された。
だからリムは(えっ!)と思い。
(だ、誰だろう、泣いているのは?)と。
リムは思いつつ。
お母さまの胸から顔を離し。
リムは恐る恐ると鳴き声のする方へと視線を変えてみると。
あの紅蓮の竜妃ライザ伯母上が、自身の口を大きく開け──上を見つつ、豪快に泣かれる御姿が。
リムの瞳に映るから。
流石にリムの涙もピタリと止まり。
もう一人の嗚咽を漏らす人は誰だろう?
もしかしてリムの母上なのかな? と思いつつ。
リムは嗚咽を漏らす犯人は誰なのだろう? と思いながら。
ライザ伯母上さまから視線を変え──。
嗚咽を漏らす人の姿を見ると。
「えぇえええっ! うそぉおおおっ!?」
リムは驚愕しながら大きな声をだしてしまう。
だから姉上の口からも。
「ひく、ひく。しくしく」と。
泣き癖がついた声が漏れるだけで。
姉上の美しい紅玉の瞳から、涙の滴が漏れ、床に落ちる行為がとまってしまうぐらい。
姉上もリムと同じように。
嗚咽を漏らしながら啜り泣く女性……。
緑の髪色をした大変に落ち着いた様子をいつもは見せる。
冷静沈着な、丞相さまであらせられる、ルミエル叔母上が。
自身のかけている眼鏡を外し、ハンカチを目に当て──。
自身の声を殺し、嗚咽を漏らす姿は。
流石にリムも姉上も驚き、桃の木、山椒の木で驚愕してしまったのと。
リムが思えば。
「あらあら」と。
リムの母上の困ったなぁと言った声が漏れると。