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「踊りなさい、自分を見失わないために」

あれこれ重たいタスクが全身に積み上がり、昨夜は泣くことしか出来なかった。
幸いにも、東京は台風からの雨雲が断続的に流れ込み、泣きながら歩く私の顔がグズグズになっていても傘で隠せた。

が、ダンスパートナーには隠せない。
アルゼンチンタンゴは抱き合って踊るが故に、私が泣かないようにと嗚咽を嚙み殺す所作まで筒抜けだ。

パートナーはとても思慮深く、猪突猛進な私を見事にコントロールしてくれている。
安心と信頼のクオリティで繋がっているパートナーの前だから、素直に泣いている自分を曝け出せるのだが…彼が出した泣き止むための処方箋が、タイトルの「踊りなさい、自分を見失わないために」の言葉だった。


dance, dance, otherwise we are lost
踊りなさい、自分を見失わないために


この名言はダンサーであり振付家でもあるピナ・バウシュの言葉だ。
09年にガンで急逝するまで新作の公演を続けていたという。

私は彼女を本物の舞台人として尊敬している。
喜怒哀楽と春夏秋冬が混じり合うような…自然で力強く、優しく繊細な感情を見事にすくい上げているが、やはりドイツ人らしい堅牢さや厚みを感じる。和紙人形みたいな私は、彼女の強さと柔らかさが同居できる理由を日夜探し回っているところだ。

彼女が振り付けたものはYouTubeでもたくさん見ることが出来る。
是非、ヴィム・ベンダース監督のドキュメンタリー映画「Pina/ビナ・バウシュ踊り続ける命」を観て欲しい。
あと、ペドロ・アルモドバル監督の「トーク・トゥ・ハー」の冒頭には、本人が踊るCafé Müller(カフェ・ミュラー)が挿入されているので、こちらも是非。アルモドバルの映画は好き嫌いと分からないで意見が分かれると思うけど…笑


泣き止むためにピナ・バウシュを持ってきたパートナーに脱帽。
こういうやりとりが、ペアダンスのいいところだね。
明日から、また練習頑張ります。


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