『秋刀魚の味』
妻子が実家に帰って、家には私一人。
こんな日にBSで録画していた、小津安二郎監督の『秋刀魚の味』を観てしまいました。
これはダメです。明らかにチョイスミスです。
何度も観た映画ですけど、若い頃に観た時とはやっぱり味わいが全然違いますね。
杉村春子の涙がこんなにも胸を打つ年になったんだなあ。
それからやっぱり笠智衆ですね。この人はヤバいです。すごい俳優だ。
岩下志麻が嫁ぐ時、挨拶をしようとして正座した彼女に蹲踞して相対するんです。これがダメだ。耐えられん。
この姿勢が全てを物語っているんですね。お父さんの人柄、娘との関係、周囲への気遣い。
「女の子はつまらん」てね。思ってもないくせに。思ってもないことが、真逆のセリフからきちんと推察できる。
そしてラストシーン。
『晩春』とはまた違った寂しさがあります。今度のはストレート。もういない娘の部屋を見上げての男泣き。
いやあ、堪えました。世の女の子のお父さん。絶対にひとりでは観ないでください。