咳払い
春になって、花粉の影響からか喉がいがらっぽい。
違和感を払拭しようと咳払いを一つ二つしてみるけど、いかんせんそれですっきるすることはない…。
と、ここで思い出したことが一つ。
咳払いには苦い思い出があって、それは何かというと、子どもの頃、私の大の苦手だった人がよく咳払いをしていたのだ。
私は小さい頃剣道をやっていて、町の道場に通っていた。良く言えば家庭的、悪く言えば閉鎖的なその空間は、1階が道場で2階には事務室やトイレそれから更衣室なんかがあった。
その気になれば簡単な合宿なんかもできてしまう設備で寝泊まり可能。そして2階には館長の個人的な空間、まあかっこよく言うと書斎みたいなものもある。
下の稽古場で子どもたちがウォーミングアップを済ませ、いよいよ先生に稽古をつけてもらおうという段になると、キャプテンがその書斎に行ってお伺いをたて、そこからおもむろに館長が階段を下りて下にやってくる。
その時、必ずと言っていいほど、例の「咳払い」をしてやってくるのだ。
これがイヤでイヤで。
咳払いというものがもともと持っているネガティブなイメージというか、「え?機嫌悪いの?」的なニュアンスのせいも大いにあると思う。
だから館長の存在よりも先に、咳払い自体に恐れを抱いていたのかもしれない。でもやっぱり元々館長が苦手なために、その咳払いを「キショ」と感じていたのかもしれない。どっちだ?
ニワトリが先か卵が先か、もう半世紀近くも前のことなのではっきりとは思い出せないが、咳払いにはそういう思い出があります。