ミツバチ。
子どもを見送ってから、玄関の掃除をする。土間に箒をかける。毎日掃除していても、土埃はいつもある。箒を持つ指先が冷える。
だいぶ季節らしい気候になったなと感じる。
郵便受けの近くにパンジーやビオラを植えたプランターが置いてある。毎日のように水をあげていたが、寒さも相まって2・3日に1回あげればいい方だ。
朝晩と冷え込むが、まだまだ日中は暖かい。花の蜜を求めてなのかミツバチがとんでくる。
日中にみかけたミツバチが、翌朝にアスファルトの上に横たわってるのを目にした。
以前からそうだったのか…
12月だというのに、昼間は20℃近くまで気温があがれば、昆虫だろうが、ヒトだろうが感覚がおかしくなってしまう。
冷たいアスファルトの上に横たわるミツバチをみてかわいそうに思う。
『春だ!蜜を集めよう』と外に出たのはいいが、花らしい花もなく、仕方なくスミレ科の蜜を吸ってみた。『春の味がしないな』と思って飛んでいたら風が強くなり、からだがどんどん冷えて羽根も動かなくなってきた
。『もう巣には帰れないのか』と冷たく固い地面の上で夜を迎えた。風の音しか聞こえない。
風に煽られ、はたはたとめくれ動くミツバチをみるとかわいそうでたまらなくなる。
庭に穴を掘って埋めた。
せめて土に還ってほしいから。
期待したくないな。季節に。
裏切られたくないな。季節に。
心待ちにしたくないな。季節に。
季節もそう思ってるだろうか。
傍若無人なヒトに。
どうしたらうまく共存できるのだろう。