#01 フォントのはなし「GOTHAM」編
こんにちは!フリーのグラフィックデザイナー、安村シンです。
今日は、デザイナーの間で人気上昇中、街中でもよく見かける「GOTHAM」というフォントを紹介します。
この書体。まず名前はゴッサムと読みます。(バットマンとは関係ありません)
(どうも、ゴッサムです)
1.ゴッサムってどんな書体?
この書体はパワフルで力強い印象を持ちながら、丸っこくて可愛らしさもあり、視認性も優れているという、とても使いやすい書体です。
私自身、手に入れてからというもの、英語を使う機会があればまずゴッサム、ハマらなければ他を探す、としているくらい万能です。
百聞は一見に如かず。そのパワーを実例でお見せします。
こちらは、ゴッサムを使用して文字を載せただけのカレンダー。
Photo by Kristopher Roller on Unsplash
(数字部分のクオリティは目を瞑ってください)
写真がキレイなのも相まって、なんとなく安心感のある、メジャー感のある見た目ですね。
これがもし、他の書体だったらどうでしょう。
先ほどの例と比べると、すこし安っぽく、頼りない感じがします。
並べてみると、こんな感じです。
なんとなく左のほうが目に止まりやすく、ちょっと"商品"っぽく感じませんか?
これが、書体の力です。写真がメジャー感をまとい始めた例です。
2.視認性を高める"目の粗さ"
また、この書体は"目の粗さ"のようなものがあります。
(人気フォント「FUTURA」との、"目の細かさ"の比較イメージ)
左のわかりやすいEで比べると、横棒の太さ・横棒の間隔が均等に近くなっています。対する「Futura」はEの上部のアキが短く、下部のアキが広くなっていり、より"目が細かい"印象です。
「GOTHAM」は"目が粗い"おかげで、大きなサイズでの使用はもちろん、
小さなサイズでも視認性が保たれる、という強さもあります。
このように、
大きく使ってもカッコよく、
小さく使っても読みやすい。
そんな強力なフォントが、人気の「GOTHAM」です。
3.大統領にも銀行にも選ばれた
バラク・オバマ大統領のサイトで使用されたことで話題となったゴッサムですが、2020年の現在でもいろいろな所で使用されています。最近見つけたのは、三菱UFJフィナンシャル・グループのロゴでの使用です。
重ねてみると、GOTHAMとほぼ一致します。
Fの真ん中の棒は若干へこませているようですが、これはGの丸みに合わせて計上を調整しているものと思われます。
よりギュッとした印象になり、ロゴとしての強さが出るからでしょう。
大統領にも銀行にも選ばれたフォント。
そう思うと、より使ってみたくなりませんか。
4.入手方法
今回紹介したGOTHAMというフォント。
手に入れるには、制作元である「Hoefler&Co.」で購入する他ありません。
海外サイトなので敷居が高いのですが、太さ違いで「Gotham 1」「Gotham2」 の2種類のパッケージがあります。1と2がセットになった「GOTHAM BUNDLE」の価格が$299.00、1ドル100円として3万円程度ですね。
なお、Webサイトに埋め込んでWeb fontとして使用される場合には、別ライセンスが必要なようで注意が必要です。
※Webで使われる方には、他に「Gotham ScreenSmart」という、小さいサイズ(最小9px)での表示にも耐えうる書体があり、アプリケーションで使用される方に向けた「Gotham office」などもあるようです。
※「GOTHAM」はグーグルで検索すると謎のフリーフォント版が出てきますが、おそらく形状をなぞったコピーフォントと思われます。なんと製品版と重ねても違いが分かりませんでした。こちらは権利面が怪しいので、使用は推奨しません。ぜったいダウンロードしちゃダメだぞ!
5.ソックリフォントもあるよ
先日、DESIGN CUTSさんのセールで「GOTHAM」にソックリなフォント「TT Norms」を含む書体セットがセールになっていました。(2020年4月7日現在)
比べてみた所、「M」の横幅が少し広いこと、小文字のサイズがこぶりなことを除けば、ほぼ違いが分からないほどのソックリフォント。
検索して調べたところ、Font for the Dayさんによると
「TT Norms」という書体のデザイナーは Ivan Gladkikh という方で、2017年に作られたとのこと。
普通にフルセットで買うと2〜3万円するようです。
本物「GOTHAM」は買えないけど、それに近い効果をあげたい!という方にはオススメしたいフォントです。
以上、フォントの話でした!
(最後までお読み頂き、ありがとうございました!)