マイ年間ベストアルバム2022
はじめに
2022年も年の瀬…どころあ2023年も1月が終わろうとしていますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
地元は想定外の積雪量に悩まされたばかりですが、なんとか病にかからず生活を送っています。
さて、やっと2022年のアルバムについて振り返る記事が完成しま…。取り敢えずTOP10を書きました。
1月末までには終わらせたかった。
これで2022年の呪縛から解放されますね。
順位基準は私のセンサーにどれだけ引っかかったか、です。詳しくはレビュー内容を見てください。
ちなみに、2択式で選択したらソートして順位をつけてくれるツールを使用しました。自力じゃもう分かんなくなるからね。では、まいりましょう。
※レビューは「である」調でいきます
20位~11位
20位:Bailystocks「Quicksand」
19位:おつかれベイビーズ「旅の栞」
18位:Foals「Life Is Yours」
17位:Black Country, New Road「Ants from Up There」
16位:Feeder「Torpedo」
15位:Surf Curse「Magic Hour」
14位:Ginger Root「Nisemono」
13位:Louis Cole「Quality Over Opinion」
12位:COIN「Uncanny Valley」
11位:羊文学「our lope」
10位~1位
10位:藤井隆「Music Restaurant Royal Host」
ロイヤルホスト?なんで?と思いインタビュー記事を読んで大変感心した。アルバムの出来から連想して全面タイアップという素敵さ。アルバムの限定版はなんとロイヤルホストのメニュー表型!思わず買ってしまったし、ロイヤルホストにも初めていった。
そんなコンセプトの素晴らしさはもちろん、内容も藤井隆の趣味(?)全開で楽しい。マイフェイバリットは「ムーンライトアドバイス」。エレクトロなトラックに入る三味線が良い味を出す。
9位:warbear「Patch」
どうやら自分は疲れているらしい。そう自覚させられた。優しくポップで、時折入る管楽器の音が素敵。私もアルバムジャケの中にある行列に並ぼうかな。
8位:Syrup16g「Les Misé blue」
期待を越える音がした。
2021年に行われた全編新曲ライブは行かなかったため、Twitterで流れてくるレビューしか情報源がなかった。そこでの評価的に、そこまでキャッチーじゃなく飛びぬけていい印象も見受けられなかったために、今回のアルバムの期待もほぼゼロだった。
ところがどっこい。蓋を開けば、音は80~90'sのロックリスペクト、詩はこれまでのSyrup16gがそのまま年を取ってより"威力"が増しぶん刺さってくるものばかり。少なくとも再結成後では一番好きなアルバムとなった。
7位:The Beths「EXPERT IN A DYING FIELD」
ええ曲しかないやん…。そうなれば、アルバム単位でも1曲単位でもヘビロテする手が止まらなくなるもの。どこかポジティブになるキャッチーなメロディに乗せ、素敵なインディーロックは今日も鳴る。
6位:Alvvays「Blue Rev」
音楽は、ふとした瞬間に鳴り止まなくなる。
バンドは前から知っていたがそこまで気に留めるほどでもなく、カラフルな乗り物がサムネの、いちインディーバンドという印象で止まっていた。それも、「Pharmacist」を聴いて一変する。うわ!好きなやつだ。慌てて旧譜を聴くも、どうやら新譜だけの効用らしい。しばらくはYouTubeをつけるたびAlvvaysのlyric videoばかり開いていた。
インディーロックのほどよいシューゲイザー感が良かったのかな。メロディや曲の展開もすごく頭に残る。先行配信の4曲はヘビロテのお気に入りだが、他も外せない。アルバムの流れゆえの良さもある。Tile By Tileの終わり方がたまらなく好きだ。
5位:SAKANAMON「HAKKOH」
10年代にメジャーデビューしたロキノンバンドは様々な行先を辿っている。その中でも今のSAKANAMONはバンドとリリックを進化させながら「良い丸くなり方」をしている。リリックは明らかにコロナ禍を経てリリックがより生活的、現実的になりメジャー期くらいと比べると一皮も二皮も剥けた。丸く、は保守的になることを指すのではなく、関わり合う人間の体温や優しさを上手く表現するようになったというところ。でもどこか不器用で社会に馴染みきらない根本は変わらない。そこに安心感がある。
リメイクされた妄想DRIVERも音はクリアに、かつ強化されたバンドサウンドで聞き応え抜群だ。そこからミドルバラードのふれあいに繋がるのも良い。
正直これまでにあったネタ曲や非モテ曲は苦手なものも多かったゆえ、今回のアルバムは全編安心して聴くことができる。
SAKANAMONのコンディション、過去1いいんじゃないか、とライブを観て思った。
ぜひ、解散せず続けてほしい。
4位:稲葉曇「ウェザーステーション」
wowakaリスペクトが溢れ、ポストパンクリバイバル的VOCAROCKを鳴らしていた1stから、オリジナリティの段階が格段に上がった今作。ロストアンブレラに次ぐ大ヒット作となったラグトレインをはじめ、2019年末から2022年初頭までの既存曲を含めた11曲を収録している。
そのまま高速ロックのタイプもあれば、ミドルテンポのダンサブルなロックからシンセポップ、「レーダー」のような特色の曲もある。全体的に歌ものの色が強く出ている曲が増えたか。前作も良いが、アルバムの聴き強度としては今作に軍配が上がる。
歌詞表現もまた良い。生活に身近なものをテーマにしながら、また違うニュアンスが自然と同居している。ラグトレイン(列車乗り遅れ)、ハルノ寂寞(中古の鞄)は特にお気に入り。一方、ラストのきみに回帰線は比較的ストレートな歌詞で心に刺さる。
今のボカロシーンで、稲葉曇に挙げられるようなスタイルを貫くクリエーターがいて、さらに人気を獲得している安心感たるや。
3位:Pinegrove「11:11」
あ〜(心が溶ける音)。
ふと聴いた「Alaska」からハマり、「Iodine」にノックアウトされた。迷ったらPinegrove、疲れたらPinegrove、ありがとうPinegrove。
2位:長瀬有花「a look front」
VTuber/VSingerの楽曲はコンスタントに耳にしてきたが、ついに本命がきた!と「駆ける、止まる」を聴いた時そう思った。そう感じた気持ちは2022年初めに公開された「オレンジスケール」、そして本作で確信に変わった。
いい塩梅にポップスとエッジが共存している。インディーポップ/エレクトロポップ周辺の音楽ではあるが、そこに留まらない何か(ここで語彙力が尽きる)。「fake news」「駆ける、止まる」「とろける哲学」の一連、「異世界うぇあ」「オレンジスケール」「駆ける、止まる(2)」の流れは最高。そこに挟まれる2曲も次第に好きになってくる。…色々書こうと思ったが、聴きすぎて上手く書けない。
リリース後行われたオンラインライブ「Alook」は、一つの映像作品として、活動姿勢を示す元としても傑作だった(ルポ)。どうにかアーカイブを商品化してくれ…。
長瀬有花当人はもちろん、活動を支えるレーベルやスタッフ、クリエイターが創作に一致団結して、急がば回れで作りたいコンテンツ像・世界観を最優先に活動しているのが伝わる。かつてのサカナクションが淡水と海水の間から「汽空域」と称し、マルチメディアにヒットを出していった2010年代前半のワクワク感を思い出す。長瀬有花の2023年以後の活動にも期待。
1位:リーガルリリー「Cとし生けるもの」
全体的に吹っ切れた感じがする。
歌詞の持つ批評性やリアリティ、それを独特の語彙による詩的表現で仕立てていることが群を抜いて良かった。「ホームレスのおじさんはレーシックできるお金持ってない(セイントアンガー)」なんて一文はまず出てこない。
バラエティ豊かなオルタナティブロックでアルバムの展開としても全く飽きさせない。自分でもわかりやすいオマージュ(惑星トラッシュ)があったりして嬉しい。
曲順の真ん中に「東京」があるのもアルバムの締まりをよくしている。初めてイントロを聴いた時、これまでのリーガルリリーとは違う新境地を見たような気持ちになった。
2022年に相応しいアルバムで、バンドとしても最高傑作と言って良い作品。
おわりに
去年よりたくさん良いアルバムに出会えた。けど、どこか守りに入っているようなラインナップでもある。まあ、自分が一番だろうし、2023年は2023年のペースで。
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