Date 2023.10.6
Place Japan
その場所は山を二つ、崖を三つ越えたところにあった。
その日、彼は年代物の山岳グッズを先輩から譲ってもらったことをきっかけに、久しく帰っていなかった祖父と祖母の家に行こうと思い立ったのだった。
前に行った時のことを思い出すと、かなり昔のことに感じられた。成人してから、実家を離れて海外赴任もありながら働いていたので、なかなかいく機会がなかったのだ。
実家の両親から、祖父母のことは時折きいていたし、両親が訪れると写真を送って
掌小説「1960年の夏」
written by Shinta SAKAMOTO
-ある瞑想家の手記-
Date 20??.9.28
Place 瞑想図書館
昨晩、家に帰ってきた時、家の前の空き地に小さな警察車両が停まっていた。空き地のひと区画に、いくつかの目印が貼られていた。
私は特に気にすることもなく、妻と夕食を食べて、早々と眠りについた。
今朝、散歩から帰ってきたら、家の中に一人の見知らぬ子が入ってきていた。3歳くらいの坊主頭の男の子だ。
妻が「私が言っても出て行かないの」と嫌に焦燥している