written by Shinta SAKAMOTO
Date 約10000年前
Place Somewhere on Earth
茂みの陰から、現れた人が、ホウであることを思い出すまでに、ほんの束の間、一群の風が、ススキを揺らした。
オポノは、落ちていた木の実を拾うことをやめ、ホウの方を向いた。
その顔には、ほのかに笑みと呼べるような。うっすらとした表情の変化が見えた。
ホウは、開けた草原にでたところで、出くわしたオポノのことを見つめながら、古い記憶の角質から穏やかな声
掌小説「銀河の道」
Date 20??.10.7
Place 魔術劇場
ショーに出る前、この国でトップの起業家であり投資家が、私に一本のひかる小さな棒を買ってくれた。
彼は、
「君は、今これが欲しいのだろう」
「たかだか数千円の光る棒を」
「今この瞬間に、しかしここでそれに気がつき君に差し出せるのはどうやら私ししかいない。」
「私の口座にはいくら入っていると思う?」
「数千億?」と私はいう。
「数字はもはや問題にならないのだよ」
「で、私は君に提案するが、この数千円のひかる棒の代わりに、普通だ
短編小説「森の夢」
Date 2023.10.6
Place Japan
その場所は山を二つ、崖を三つ越えたところにあった。
その日、彼は年代物の山岳グッズを先輩から譲ってもらったことをきっかけに、久しく帰っていなかった祖父と祖母の家に行こうと思い立ったのだった。
前に行った時のことを思い出すと、かなり昔のことに感じられた。成人してから、実家を離れて海外赴任もありながら働いていたので、なかなかいく機会がなかったのだ。
実家の両親から、祖父母のことは時折きいていたし、両親が訪れると写真を送って
掌小説「1960年の夏」
written by Shinta SAKAMOTO
-ある瞑想家の手記-
Date 20??.9.28
Place 瞑想図書館
昨晩、家に帰ってきた時、家の前の空き地に小さな警察車両が停まっていた。空き地のひと区画に、いくつかの目印が貼られていた。
私は特に気にすることもなく、妻と夕食を食べて、早々と眠りについた。
今朝、散歩から帰ってきたら、家の中に一人の見知らぬ子が入ってきていた。3歳くらいの坊主頭の男の子だ。
妻が「私が言っても出て行かないの」と嫌に焦燥している
掌小説 「青写真」
written by Shinta SAKAMOTO
-ある瞑想家の手記-
Date 20??.9.26
Place 未来研究所
それは、3つから4つの異なる場面から構成された意識の旅であった。
最後に、顕在意識に戻ってくる時に聞こえていたメロディを頼りにして、その旅が持つ気配をスケッチした。スケッチは詩として現れた。
13の青写真を言葉にしていこう
果てしない時の狭間に浮かぶ本当の君
あなたのみちをいきてみせて
未来研究所内の化学系の広めの実験室の机で、私は、四つ