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パロディ登録商標「Nyanpion」取消審決が出た!速報

黒川 暢朗という人物が様々なパロディ商標を商標登録し、一部は商品として販売しています。
時々ニュースにもなっていますので、ご存じの方は多いかもしれません。
まずは彼の出願商標をいろいろ紹介します。

まずはBALENCIAGAのパロディ

バレへんがな バレないかな バレないからと複数タイプあります。
間違って買うことは無いけど、街でぱっと見分けが付かない絶妙なラインですね。

次にpatagoniaのパロディ
パパゴリラを基本としつつ、バンクシーと組み合わせた謎出願も

さらにLACOSTEのパロディで起こして
こちらは混同は起こらなそうなピュアなパロディという印象があります。

adidasや

ナイキ、ニューバランス、アディダスとの組み合わせタイプも

PUMAじゃなくてシバ


これは結構話題になった、もっと隠すとグッチやシャネルと読めるやつ
CUGGLは異議がかかったものの維持されました。しかし悪い使い方をすると不正使用取消審判の対象になるか?


バンクシーもなぜか狙っている。正体不明のバンクシーがどのように異議や無効審判をかけてくるか興味があったのか?
しかし特許庁が止めたのでバンクシーの出る幕なしでした。

で、いよいよ今回のテーマ「ニャンピオン」 赤○をした登録商標が今回取り消されました。


以前異議申し立てが不成立となり、登録が維持されていましたが、改めて行われた無効審判で判断が覆ったのです。

異議申し立て(異議2021-900230)では、チャンピオンとニャンピオンの商標は類似せず、4条1項7号、10号、11号、15号、19号のいずれにもあたらず登録を維持するという決定でした。

今回の無効審判(無効2022-890045)では、仮装用衣装以外の指定商品について11号、仮装用衣装について15号への該当性を認め、商標登録が無効とされました。

ポイントは何といってもチャンピオンの周知性ですが、引用商標の場合分けを無視してざっくり書くと、
チャンピオンとニャンピオンの図形部分の共通性を認め、差異が大きくないこと、
ニャンピオンからは特定の観念を生じないがチャンピオン商標からはブランドの観念を生じること、
ニャンピオンとチャンピオンの称呼が「2音目以降の「ンピオン」の4音を共通にするものであり、異なるところは、語頭における「ニャ」と「チャ」の音の相違のみである。しかも、当該相違音は、「ア」の母音を共通にするものであるから、当該差異音が語頭であることを踏まえても、本件商標と引用商標2及び引用商標5とは、称呼において一定程度の類似性を有するといえる。」
「観念も相紛れるおそれがある場合があるものである。」
として類似性を認めました。

で、出所の混同のおそれについては、上記(1)ないし(4)のとおり、引用商標の周知著名性の程度は高く、その独創性の程度も高いものであり、本件商標と引用商標との類似性の程度は高く、本件商標の指定商品と請求人等の業務に係る被服及びスポーツウェア等との関連性の程度は高く、取引者及び需要者を共通にすることからすると、本件商標は、これをその指定商品に使用する場合には、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起し、当該商品が請求人等又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。
として広義の混同をざっくりと認めています。

ニャンピオン側が図形の猫の観念を強く主張しなかったことや、ニャンピオンの文字に含まれる猫の観念を主張していないことも不思議ですが、
審判官が「当審の判断」の中で猫について一切触れていないこともどうなのかと思います。

猫で判別可能というニャンピオン側の主張に対して、何か触れないと納得感がない審決になってしまう様に感じます。

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