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立入禁止区域【8108(ハッテン場)】

新芸術校 第4期生展覧会グループA『オソレの品種改良』にて展示した、「立入禁止区域【8108】」の動画をnoteにて限定で公開します。

この作品はこれまで誰にも打ち明けてこなかった性虐待の経験と正面から向き合って作り上げたものです。

この作品を作った当時、僕は性行為に対して強烈な嫌悪感を抱いていた。

当時付き合っていた恋人には沢山苦労をかけ、沢山の時間僕と向き合って貰い、また沢山の協力を得て完成した作品でもある。

noteの過去の記事にも「ハッテン場とは」というタイトルで、僕が初めてハッテン場を訪れた体験を記しているので、もしよかったら見てくださると嬉しいです。

その記事にも書いているように、当時僕は24歳で、当時付き合っていた恋人にお願いをしてハッテン場に一緒に連れていって貰った。

当時僕は自分の中にある欲望、それを超える恐怖と嫌悪感、そしてその先にあるであろう自分の幸福をどうやって掴めばいいのかずっと分からず生きてきた。
また、自分の中に幼少期僕を傷つけた〝性的欲求〟というものが自分自身の中にも存在しているということが何よりも自分を苦しめていた。

僕はそう言った状態にもがきながらも、〝ハッテン場〟という場所に興味を抱き、自分が向き合うべきものがきっとそこに落ちているような気がして、恋人に頼み、ようやく足を運ぶこととなった。

立入禁止区域【8108】はブラックボックス型の迷路型のインスタレーションである。

インスタレーションの外壁はレインボーフラッグをモチーフに制作をした、「A wonderful gay life」というペインティングを転写した壁を作り、そこには描ききれなかった、自分のセクシャリティーにも繋がっていく、その根源となった体験を作品の内部では展開している。

作品はR-18指定の制限が会場側から規制が入り、撮影も不可にして欲しいとのことだった。

「会員制」の表札がついた暖簾を潜ると、ハッテン場のダークルームがスタートする。

まず目にするのは、沢山のDMやチラシ類だ。

ゲイイベント、AV、セクシャルヘルスについてなどのあらゆるチラシが目に入る。

少し歩くと、洗面台に使い捨ての歯ブラシ、うがい薬、ローション、コンドームが設置してある。

それを進むとEDMの音楽が聞こえてきて、薄暗いネオンライトがまさに欲望を駆り立てるかのような演出になっている。

そこから先には、ケツワレパンツを履いたマネキン、sperm(精液)で汚れた全面鏡。そして進んだ先にはゆきずりの SEXが行われるマットが設置してある。その上に大量に敷き詰められているものとは…


以下「立入禁止区域【8108】」のステイトメントである。

眠ったふりをしたこともあった。
バカなふりをして気付いていないふりもした。
それは漫画のように夜な夜な屋根裏部屋で行なわれる。

これ以上散らかしようのない部屋、
床に落ちる体毛にフケ、埃、
コンビニ弁当の食べカス、
それに蠢く黒い虫、
散乱する丸められたティッシュの数々…
そして、キツイ体臭に口臭。

〝痛い、怖い〟繰り返される行為にいつしか僕は、
〝気持ちいい〟そう思うようになり、反応してしまう自分の下半身に理解が追いつかなかった。

「誰かにこの事を言ったら殺すからな。」

当時、まだ片手で数えられる年齢であった僕は、その言葉を聞き、大切な何かをバラバラにされ、そして粉々に壊されてしまっていた。

いつしか事実を隠した笑顔は僕を明るく彩った。
いつ噴き出すか分からない、黒くて歪な感情を内に秘めながら。

24歳の春、
僕は初めて〝ハッテン場〟というものを訪れた。

※ハッテン場とは、男性同性愛者の出会いの場所の1つである。公園や銭湯、公衆トイレなど公共の場所や、営利目的で営業する専用の有料ハッテン場に集まり、出会った相手とセックスする場所である。

バラバラに切り離された欲求と幸福を探すため、過去に続く道を僕は彷徨う。


ここから先の作品の動画は有料で公開し、浦丸真太郎の今後の新しい作品や展覧会の準備費用とさせて頂きます。
また、内容はR-18となっているため、未成年の方の購入や性的な描写に抵抗がある方は閲覧をお控えください。

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