コピーミスを修復できないことはむしろ恐ろしい

私もこの先生の意見に賛成。ウイルスが遺伝子のコピーミスを修正する能力を失って自滅したのではないか、という説が話題になっているけれど、それでウイルスが自滅するとは考えにくい。なぜなら「ミスを修正できなくても正確にコピーできた個体は生まれるから」。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6409464
RNAウイルスはもともとコピーミスが起きやすいとされる。そして、このコピーミスこそ、新たな変異株が次々と生み出されるこのウイルスの厄介さでもある。コピーミスを修復する機能が弱ったということはむしろ、新たな変異株を生む力が強まったと言ってよい。
古澤満さんの不均衡進化理論の講演を何度か聞いたことがある。この理論では、コピーミスこそ進化する原動力だと解釈される。実際、コピーミスを修正する酵素を破壊すると、普通では考えられないほど高濃度のエタノールでも死なない大腸菌が生まれたりしている。
もし、第5波終息期に、コピーミスを修復する酵素が壊れたウイルスが目立ったのだとしたら、それはむしろ怖いことではないか。ワクチンを接種した人の免疫をすり抜けられる変異株を生み出そうと、ウイルスが必死に生存戦略を練ってのこと、とも解釈できる。
それに、コピーミスが頻発しようとも、もともと遺伝子をコピーする仕組みはそこそこ精巧で、正確な遺伝子コピーも作り出せる。感染力はそのままの個体を生み出したうえで、コピーミスを繰り返し、変異株をどんどん作り出す。それがこのウイルスの怖さのように思う。
第5波が幸いに終息に向かったのは、冒頭の記事にあるように、
・ワクチン接種者が増え、ウイルスの拡大を封じ込めた。
・第5波の恐ろしさを知った国民が、適切な行動をとった。
からだと思う。
また、コピーミスを繰り返し、次々に生まれる変異株をも、幸いにワクチンによる免疫は対応できたから。
しかし、修復酵素を壊し、コピーミスを起こしやすくし、結果として変異株が生まれやすくなっているということは、恐いこと。もしかすると、ワクチンで誘導された免疫をもすり抜ける変異株が生まれないとも限らないから。
だから、コピーミスを修復できなくなっているということは、むしろ恐いことだと理解したほうが妥当だと思う。正確なコピーも生み出しつつ、新たな変異株を生み出そうとしているわけだから。油断はできない。

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