ゲーム依存症の予防法
「うまいこと子育てされているなあ」と思っていたご家庭があった。そこの子は野山を駆け回り、虫を捕まえたりトカゲを育てたりと、自然に親しんで遊んでいた。ああ、こんな育て方したいよなあ、と思っていた。ところが中学2年生の頃、異変が起きた。
友達のところでやらせてもらったテレビゲームにはまってしまった。そのゲームをやりたいがために、友達の家に毎日のように押しかけて、何時間も遊んでくる始末。さすがに他人の家にご迷惑をかけるわけにいかぬ、と、それまで買っていなかったゲーム機を買った。すると、もう四六時中ゲーム。
その子はゲーム依存症になってしまった。その結果、勉強にも手がつかなくなってしまった。ゲームを禁じてしまうと、かえってゲームをやらずにいられなくなり、依存症に陥りやすくなるのかもしれない。この子の事例は、大きな教訓となった。
私が中学生の頃、ファミリーコンピューターが普及し始めていたように思う。同級生で見る間に成績が悪くなり、メガネをかけるのが続出するようになった。私も当初、ゲームが欲しくて仕方なかった。しかし同級生の家でやらせてもらっても友人に太刀打ちできないので、イヤになってやらなくなった。
というわけで、私はゲームをほぼせずに育ってしまった。正確には、テーブル型のインベーダーゲームに小学生の頃、ハマっていたけど、レバーとボタン1つを操作するのが精いっぱいで、ボタンが二つ以上になると操作し切れず、結局ゲームはやらなくなってしまった。ちょっと変わったケースかも知れない。
このゲーム依存症の問題について、YouMeさんとかなり相談を重ねた。その結果、次のような方針を立てた。
・幼い間はデジタルなゲームは買い与えないようにする。
・しかし、外遊びや手を動かす、人と一緒に遊ぶなどの他の遊びが大好きな年齢のうちにテレビゲームを買い与え、それだけに依存するのを避けるようにする。
その結果、テレビゲームが我が家に来たのは息子が小学5年生のクリスマス。ゲームはマインクラフトとすみっコぐらしの二つ。
ゲームをする前に、子どもたちと相談して次の約束をした。
・ゲームは1回に30分まで、1日に合計4回2時間まで。
・1回やったら30分ほど目を休憩させる。
すると、ゲームにハマるかというとそれほどでもなく、約束をきちんと守ってやるようになった。自分で決めたルールだということもあるかも。ただ、ポケモンをやるようになってから、ずいぶんハマった様子。それまで1日2時間の枠いっぱいにゲームすることはあまりなかったのだけど、ポケモンは2時間一杯やるように。
それでも約束は今も守り続けている。タイマーで30分セットし、時間が来たらゲームを中断。その後、好きな本を読んだりしている。最近はポケモンもやや落ち着いてきたのか、ゲームも1時間ほどするくらいだろうか。娘(小二)はするけれど、お兄ちゃん(小6)は最近、ゲームをしなくなった。
息子も娘も、ゲームは大好きだけれど、本や漫画を読むのも好きだし、レゴで何か組み立てたりビー玉転がし(ピタゴラ装置)を作るのも好きなので、ゲームは好きなもののone of themになっているらしい。思春期に入って他の遊びに飽きてきたころにゲームを買い与えていたら、こうはならなかったかもしれない。
YouMeさんと相談していたのは、テレビゲームをやる前に「楽しい依存先」をなるべく増やしておこう、ということだった。息子や娘はクボロというビー玉転がしの設計が大好きだし、レゴも大好き。スクラッチというプログラミングをするのも好き。読書も大好き。外で遊ぶのも好き。
こうした「楽しい依存先」がたくさんあるうちにテレビゲームを買い与えたら、ゲームは「楽しい依存先の一つ」でしかなくなるのでは?と考えた。今のところ、それは上手くいっている様子。ゲームと適度な距離感を保つことができているみたい。
一人当たり1日2時間のゲームで遊べる枠があるのに、あまりその枠を使い切らない。他にもいろいろ楽しいことがあるので、そればかりで遊ぶわけにいかないのかもしれない。ゲーム依存症を避けるには、いろんな「楽しい依存先」をたくさん作っておいて、それを楽しめる年齢のうちにゲームを買い与え、決まった時間の範囲で楽しむ習慣をつけたほうがよいのかもしれない。
正直、タイマーが30分で鳴ったらきっちりゲームを中断するのはえらいなあ、と感心する。私たち親がいなくてもそのルールは守っている様子だから、ちょっと驚き。
ゲーム依存症を予防するには、
・「楽しい依存先(遊び)」をたくさん作る
・それらの遊びに飽きる手前の年齢でゲームを買い与える
・ゲームに制限時間を設け、自分でそれを守るようにしてもらう
・ルールは子どもと相談し、子ども自身が決めたものとする(親の命令にしない)
というのが、一つの手かな、と思う。
では、すでにゲーム依存症になってしまった場合はどうすればよいのだろう?
それについては、本日のウェブ飲み会のテーマになっているので、情報を仕入れてから考えてみたい。
子どもが小さい間は、親に相手してもらうことが楽しく、一人で遊ぶテレビゲームより、人と交流する楽しみを優先する欲求が強い。その欲求が健在なうちにゲームを買い与えれば、ゲームだけにのめり込む可能性は低くなるように思う。しかし思春期が近づくと。
だんだんと親と距離を置くようになり、一人で過ごしたがるようになる。こういう状態になってからテレビゲームと出会うと、すっかりのめり込んでしまうらしい。親はもはや遊び相手としては不適格なので、親はゲームの邪魔するうっとうしい存在でしかなくなってしまう。
まだ親と一緒にいたい、親と一緒に遊びたいという欲求が強い間にゲームとの付き合い方を学び、習慣化したほうがよいように思う。今のところ、うちの子どもたちは上手くいっている様子。でも、まだまだ油断はできないけど。