恥をかくから文章が書ける

(長文を書くことは昔から苦ではなかったか、長文を書く訓練はしたか、という質問に対し)

私は子どもの頃、作文が超苦手でした。何を書いたらいいのかわからなくて、「弟が僕のチョコを食べた」って文句を書いたら家族から「なんて恥ずかしい」と総スカンでした(笑)。それをきっかけに、「僕は作文が苦手」というのが刷り込まれました。

それに変化が起きたのは、高校2年生のとき、国語の先生が、課題の要約を書け、って言ったとき、私の要約をほめてくれたんですよね。クラスメートが最初失笑したりしたんだけど、「いやいや、なかなかこんな短く簡潔にまとめるのは難しいですよ」とフォローしてくれて。それで少し自信がつき。

修学旅行後の文集で作文書いたら、なぜか同級生が「感動した」と何人も言ってくれて。原稿用紙1枚だから400字以下だったんですけど、「あれ?作文、マシになったのかな?」という気になって、これで作文に対する苦手意識がだいぶ薄らいでいきましたね。

一番の訓練になったのは、塾を主宰して子どもたちを教えるようになってから。毎月、学習に関する自分の考えをまとめてレポートにし、それを新聞の折り込みチラシにして配ってもらっていたんですよ。まあ、塾の宣伝ですが。なにせ新興の塾ですから、宣伝しないと来てもらえませんしね。

だから、どちらかというと生活のため、学費を稼ぐためにやむなく文章を書いていた、という感じです。生徒が来ないと学校通うのも生活するのもできなくなるのですから、もう必死。どうやったら子どもたち、親御さんの心に響くかを考えて書くしかなく。これが訓練になったかも。

自分の文章力に本当の意味で自信がついたのは、龍馬ネットワークという、全国の学生が参加したメーリングリストが96年に開始となり、そこで様々な議論を交わしたことですね。このころ、A4半分から1枚程度の文章を書くようになりました。

その後、2002年だか2003年だかに若手官僚が立ち上げたメーリングリストGoverment21、その後、Crossover21と改名したものに参加し、ここでかなりの長文を投稿するようになりました。長文を書けるようになったのは、このころですね。

ちなみに、学生の頃に参加していた龍馬ネットワークでも、社会人になってから参加したCrossover21も、とても良い反応をもらうこともあれば、もうボロクソに批判されたことも度々。「メーリングリストやめろ!」と言われたことも。で、「すみませんでした、やめます」と言ったことも複数回。

でもまあ、その都度とりなしてくれる人が現れて、どちらもやめずに済みました。今で言えば「炎上」を繰り返していたのですが、その経験が、「あ、こういうことを書くと批判を招くのだな」という学習になり、「こう書けば人の心の琴線に触れるのだな」ということも見えてきました。

あ、mixiも大きかったですね。2004年にmixiに参加して、子育てのことを議論するコミュニティがあって、様々な人と議論しました。そのやり取りの中で、文章を書くことが苦にならなくなっていったのだと思います。ここでも、私はたびたび炎上(笑)。あるいは大批判を受けました。

でも、その批判のおかげで、文章を書く力が少しずつついていったんじゃないかな、と思います。今の私の文章が上手いかどうかは他者の評価に委ねるしかないですが、失敗を重ねることで、初めて学べるものってたくさんあると思うんですよね。恥をかかなきゃ上手くならない。

文章を書いては恥をかく。この繰り返しによって、文章をどう書いたらよいのか、だんだんとコツがつかめるようになったのだと思います。私は、文章を書くことによってかいた恥の数でしたら、相当の数に上ります。それだけもともと下手だったということなんでしょうね。

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