子どものうちに甘えること
「甘える(依存する)」について否定的ニュアンスで語ったけど、これは大人の話。
子どもの発達には、「甘える」がとても大切であるらしい。「この世に生まれてきてよかったんだ、生きていて構わないんだ」という確信を得るために。
https://note.com/shinshinohara/n/na91ff134334a
施設のときはお行儀もよく、トイレも問題ないしお箸を使って食事もできた「よい子」が、養子として迎えられると、赤ちゃん返りすることがあるという。ウンチもオシッコもたれ流し、食事も養親に食べさせてもらおうとせがみ、泣きわめく。身勝手、ワガママな振る舞いが続き、養親を当惑させるという。
しかしこれはとても大切なステップなのだという。赤ちゃんのように何もできない、ただ要求するだけの、世話を焼いてもらうだけの存在になっても、この人は決して自分を見捨てない、という確信を得たいから。
親、あるいは親代わりの人に、どんなことがあってもこの人は自分と縁を切らない、みっともない弱い自分を知っていても決して縁を切らない、という確信が得られたとき、ようやく行動が落ち着くという。おもうぞんぶん甘えることができて、ようやく得られる境地。これについては「甘えの構造」が詳しい。
これを今どきの言葉にすれば自己肯定感ということになるけど、先日も指摘したように、どうも「自己」という言葉に違和感がある。他者から肯定された感覚なのに、なんか、自己の存在だけで自己完結する変な言葉。むしろ「世界から肯定された感」とした方がしっくりくる。
https://t.co/fW1WhJTdhI
この「世界から肯定された感」を獲得するには、赤ん坊のように無力で、みっともないところを見せても決して関係が切れない、という確信が必要であるらしい。そのために必要なのが「甘える」のようだ。これを子どものうちに済ませておくことが大切なように思う。
大人になってから甘えようとしても、「いや君は大人だし。こっちは君の親じゃないし」と断られる。夫婦がまだしも、弱い部分、みっともない部分を見せ合える関係かもしれないが、それも限界がある。甘えは、大人になる前に十分済ませておくことが大切なのかもしれない。
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