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楽器紹介:Tiny Flower5について

2024年9月現在、メインで使っている楽器について。

Tiny Flower5は2020年に自分による自分の為の楽器として自作した5弦ベースです。

その後、何度かの改造(改修)を加えて現在の姿になっています。

現在(Ver.3)の仕様


現在のすがた

Scale : 32inch (813mm)
Neck : Maple
Fingerboard : Rosewood
Body Core : Light Ash
Body Top : Spruce
Tuner : Gotoh GB350
Bridge : Unknown 17mm pitch bridge
Fret : 26F (Jescar 57110SS)
Pickup : Aguilar DCB D2
Weight : 3.2kg

スペックはこんな感じ。

とにかく軽く、そして弦長が短く、演奏時の負荷が少ない楽器です。

これを作ったそもそもの一番の目的が楽に弾ける5弦ベースの決定版を作ろう、というもの。

32インチという弦長は当時所有していたヤマハのモーションベースがミディアムスケールで弾きやすくて音も違和感がなかったため。標準的なFenderの楽器は34インチだから、2インチ≒51mm、フレット1本ぶん弦長が短いということになる。

32インチは個人的にとてもしっくりきていて、左手のストレッチによる負荷少なさはもちろん、楽器のサイズ感や構えたときのバランスなどを多角的にみて、一番良い妥協点だと思っています。

より弦長が短い30インチ(Fender Mustang Bass等で採用)等も検討しましたが、弦長が一定上短くなるとLow-B弦を含めた発音が鈍くなり、また倍音も少なくなり、音色自体がもっさりとした質感になってしまいます。なので、演奏性と音質を天秤にかけ錯誤した結果、32インチが丁度良いというのが現時点での結論です。

ボディは無垢ワンピースのライトアッシュをコアにした50mmの厚みがあるホロウボディ。これは所有しているハナムラ楽器製のプレシジョンベース(フルアコ)にインスパイアされたもの。45mm厚の単板ライトアッシュをNCで“裏から”くり抜き、アコギのトップ材として使われるスプルース材で蓋をした、セミアコースティックの構造になっている。

これにより非常に軽量で生鳴りが大きいアコースティック寄りの響きを持つエレキベースに仕上がったのが本機です。重量は僅か3.2kgとヘッドレスではない5弦としては最軽量クラスになっています。

ネック周りは特筆する部分はありませんが、ベーシックなメープル材にローズウッド指板のネック。ネック厚みは1F部分でやや厚めの23mm。カーボンロッドの補強はありませんが、5年以上シーズニングした硬く狂いのない材を使っているので順反りはほぼ起きません。とにかく堅牢なネックです。

パーツ系一式もざっくりと説明。

ピックアップはAguilarのソープバーピックアップ、DCBが搭載されている。太くメローな音色で、昔のBartolini製ピックアップを彷彿させるような印象ですが、Bartoliniと違う点ではパッシブで十分に使えるだけの大きい出力を持っています。電気系はパッシブ(電池非搭載)で、2つのボリュームとトーン、3wayスイッチによるミュート/プリセットトーンを加えたSSJBコントロールです。

以前は別のPUが付いていましたが、後ほど解説。

製作当初(Ver.1)の仕様

このTiny Flower、製作した当時は今とだいぶ違う姿でした。

便宜上Ver.1とする

はい、既にぱっと見の印象が既に違うと思います。
(塗装も綺麗だなこれ)

まずこの時点ではピックアップは同じAguilar製のPJピックアップ、AG 5PJ-HCが付いていました。

最初にPJを選択した理由は、昔YAMAHAのBB5000という楽器を所有していて、そのサウンドが好きだったからです。もともとはP一発の予定でしたが、リアJが付いていても損することはないだろうという発想でとりあえずPJにしてみました。

この時点では楽器自体はまだFender JazzBassの系譜の上にあったように思います。2年半ほど特に不満もなく弾いていましたが……。

いわゆるロックやポップスでゴリゴリ弾くタイプの楽器ではないので、主にジャムセッションや、インプロ要素のあるコンテンポラリーミュージックでの演奏が主な起用の場になる訳ですが、そうなると22Fという音域の狭さが気になってきました。この楽器の音色を活かしたソロやコードを駆使した演奏を織り交ぜようと思うと、最高音がFというのは半端になってきたんですね。

楽器制作時の偶発的なトラブルで予備のネックを1本作っていたので、余っていたもう1本のネックを指板延長して取り付ける、という大胆なアイデアを思いつき、実行しました。

少し前の仕様(Ver.2)

そうして音域拡張のためにネック交換した姿がこちら。

これがVer.2だ!

ネック交換&指板延長により22F→26Fになりました。
最高音はハイA(高いラ)となり、6弦ベースに近い音域の広さになります。

ネックの指板延長とネックポケットの修正など、改造一式は知り合いのたりきこうぼうさんでやってもらいました。(指板延長をやりたい人はたりきこうぼうさんに頼みましょう)

ネック自体が新しくなったので、新しいネックのペグはHipshotではなくGotohのGB350という軽量ペグにしてみました。1個あたりの重量はHipshot Ultraliteよりも僅かに軽く、軽量化に貢献できると思ったからです。

あとなんだかんだで製作されてから3年以上経ってるので、なんかボディの色もちょっと褪色してますね。

7月のライブをやった時は、この状態でした。

そしてその後、よりディープで太い音をリアPUで出力したい、という思いが強くなりピックアップをAguilar DCBに換装しようと決意。Ver.3に変遷していくのでした。

総括

見た目にも慣れてきた

そして現在のVer3へ。

パッシブで出力するAguilar DCBは直列ハムバッカーらしい図太い音で、フロント、リアを単独で使ったときのパワー不足を感じず、高域をブーストしなくても十分な音圧とローミッドが得られます。ローエンドが伸びる割には埋もれないので、この音は共演者にけっこう好評です。

Tiny Flower5は改良を重ねつつ、自分の考える理想の演奏性・耐久性・音をほぼ具現化した楽器です。

満足度でいうと97%くらいかな。100%じゃないけれど、不満はほぼありません。(不満があるとすれば、ボディのコアはライトアッシュじゃなくて硬いホワイトアッシュを使えばよかったと思っているくらい)

基本ライブやセッションで使う楽器ですが、機会があればレコーディングでも使っていくかもしれません。

それでは。
そのうち別の楽器も紹介します。


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