見出し画像

生産財営業マンの教科書I書評 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

多様性やマイノリティに、気がつかないふりをしているおっさんが読むべき本。著者 ブレイディみかこ 新潮社刊

アイルランド人の父と日本人の母を持つ中学生が、イギリス地方都市の元底辺中学校に通うことによって、所得差、貧困、人種差別、LGBT、ホームレスなどの出来事に遭遇する。私には、遠い国の事として、軽く捉え、主人公の男の子が、悩みながらも人を思いやり行動することに、爽快さを感じていた。

日本では起こらない遠い国の出来事ではないかと、書評を書くグループで紹介した所、こんな感想を頂いた。
『私は、40代で小学校から高校生の子供がいるのですが、この本の内容は、まさに、日本の子供達に起こっている事です。』

ここに大きなギャップがある事に気付かされた。アドバイス者は、まさに子育ての現場(学校や地域)で、著者と同じ危機感、問題意識を持ったわけだ。

一方、私自身、成人した2人の息子を持ち、子育てでは、PTAや自治会にも積極的に関わってきた身でも関わらず、「遠い世界」の出来事に「爽快さ」を感じて終わっていたのだ。

オリンピック委員会の森会長の発言が、大きな問題となっているが、私の認識も、森会長の発言と本質的な点では、変わらないのかもしれない。
主人公が母親の故郷の居酒屋で遭遇した、『日本人なのに、日本語が話せないのは、日本にとって失礼だ』と酔って管を巻くおっさんに、当初は嫌悪感を感じていたが、私と同類である事に愕然とした。

結局、私も森会長や酔って管を巻くおっさんと同類だったのかと感じながらも、
小学校時代に、幼い姉弟のお守りで通学できない近所の川辺りに住む同級生に、給食のパンを届けていたことを思い出し、そんな子供でもあったと少しだけ安心した。

39年間会社組織で働き、世の中がわかったつもりでいた私にとって、気がつこうとしない、積極的に関与してこなかった世界があることを教えてくれた本です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?