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不動産トラブルを円満解決する、「業界のネゴシエーター」とは

新生都市開発株式会社 代表取締役の永尾です。

新生都市開発では、底地(借りた土地の上に建物を建てる権利がついた土地)・借地や、老朽化住宅といわれる借家・文化住宅・アパート・マンション・ビルなどの不動産を買い取っています。

これらの物件は土地と建物の所有者が異なる上、建物には第三者の方が入居されているケースもあり、一般的な不動産会社はほとんど取り扱いません。なぜなら、権利関係が複雑な土地は関係者への交渉が必要となり、リスクが高いと判断されるからです。

ですが、私たちはあえて「権利関係が複雑な不動産事業」に特化しています。なぜニッチな事業に取り組んでいるのか、今回はその理由について語らせてください。


ニッチな事業を行うのは、満足な結果に導く自信があるから

一つの物件に複数人が関わっている底地は、物事を決める際に関係者の考えがまとまらず、トラブルを抱えがちです。

「建物所有者の同意が得られず、地代を上げられない」
「土地を生前贈与したいが、建物所有者・入居者との交渉がまとまらない」

そのため、一般的な不動産会社は、権利関係がシンプルな更地の土地を売買します。これはあくまでも私の感覚値ですが、「大阪界隈で底地を取り扱っている不動産会社は、全体の10パーセントにも満たない」と思っています。

なぜ、同業他社が扱おうとはしない、ニッチな不動産事業を行うのか。その理由は2つあります。

一つは、不動産トラブルに悩む、クライアントの力になるためです。

私たちのクライアントは、他社からのご紹介でご依頼してくださる方が多いです。そのため、ご紹介者様ならびにクライアントのご期待に応えられるよう、毎回全力を尽くしています。

もう一つの理由は、「長年の経験を持つ私たちならば、クライアント・入居者双方が満足いく結果に導ける」と自信を持っているからです。

権利関係が込み入った不動産問題には、人間の感情も複雑に絡み合っています。解決するには誠実・丁寧な対応が不可欠ですが、なかなかその点に気がついていない不動産会社もなかには存在しているように感じています。

私は、そんな不動産会社が対応をした結果、よりトラブルが複雑化してしまった事例を知っています。


誠心誠意の対応で心の扉を開く

数年前、私は退去交渉が難航し、こう着状態に陥ってしまった物件を担当したことがあります。土地の所有者が退去を求めたところ、入居者の高齢男性は、「住み慣れた環境を変えたくない」という理由から、退去を拒否し続けていました。

私が挨拶に出向いたところ、入居者の方は不信感をあらわにし、まったく話を聞いてもらえませんでした。

「対話ができる状況じゃない」

そう判断した私は、とっさにこう切り出しました。

「人間関係が構築できていないと、どれだけ話をしても意味がないのはわかっています。なので、退去に関する話はしません。代わりに、伺った際には将棋を教えてもらえませんか?」

私の目線の先には、その方の物であろう、使い込まれた将棋盤が置いてありました。お相手は突拍子もない提案に一瞬戸惑っていましたが、「まぁ、別にいいけど」としぶしぶご了承いただけたのです。


その後、私は約束通り、将棋を教えてもらいに定期的に訪問を続けました。最初はぶっきらぼうだった入居者の方も、しばらくすると「おう、また来たか」と声を掛けてくださるようにもなりました。そうして、将棋を習い始めて約1年が過ぎようとしていたある日、ついにお相手が重い口を開いたのです。

「ここまで趣味に付き合ってくれて、ありがとうな。おたくらの意向もあるから、言わんとしてることはわからんでもない。

でもな、自分たちの要求だけ主張されても、ワシにも考えがある。自分の要求を一切受け入れてくれない人間とは話したくないと思うのも、無理ないやろ?」

聞けば、入居者の方は、条件次第では退去を前向きに考えていらっしゃったそうです。ですが、前任担当者の態度に嫌気が差し、「もう誰の話も聞かない」と断固拒否し続けていたのでした。

続けざまに、その方は思わぬことを口にしました。

「実はな…いい加減ワシも娘の所へ引っ越そうと思ってんねん。元々そうしてもええかなと思ってたんやけど、前任者の一方的な要求に腹が立ってな。引っ込みつかんようになってもうてたんや」


まさかの急展開に、自分でも驚きが隠せませんでした。ですが、このとき大事なことに気付かされました。

当たり前ですが、ご入居されている方にも、想いがあります。こちらの要求ばかりを押し付けず、まずは対話する環境を整えること。自分たちの想い・考えを理解してもらえるよう、誠実に説明すること。そうすれば、必ず解決できるんだ、と。


経験やノウハウを活かし、不動産問題を紐解き続ける

新生都市開発のパートナー(社員)は、みなこの考えを胸に、日々仕事に励んでいます。底地売買・退去交渉に関する長年のノウハウや経験を活かし、誰の気持ちも蔑ろにせず、できる限り全員が納得できるゴールに辿り着けるよう、取り組み続けているのです。

残念ですが、不動産業界で働く僕らは、周囲の人から誤解されやすい立場にいます。そのことを僕ら自身が一番わかっているからこそ、一件一件誠実に、丁寧に対応しています。ときには、入居者様にご協力いただくため、「自分たちができること」を一生懸命考え、行動を起こしています。

その結果として、クライアント・入居者様の双方にしっかりご納得いただいた上で、円満解決できているのです。

新生都市開発は自分たちのことを、不動産業界の「ネゴシエーター(交渉人)」だと自負しています。権利と人間関係が複雑に絡む不動産のトラブルを、交渉のエキスパートとして、これからも紐解いていきます。

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