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生物多様性酪農

森林ノ牧場では「牛がいることで生き物が集まる牧場に」を目指して、牧場管理の指標に据え、開拓を進めてきました。

21年に耕作放棄地を開拓してできた森林ノ牧場益子では、生き物が集まる取り組みとして 水生昆虫のための池のビオトープを作ったり、ハチなどが集まるビーハウスづくりを行ったり、糞虫の調査や土壌生物の調査を行っています。

牛が入ることで糞虫は増えて絶滅危惧種の糞虫も見られたり、 ビーハウスには牧場ならではのアブやハチが集まってきたりと、 牧場開拓期としてさまざまな挑戦をした面白い3年間でした。

一方で、耕作放棄地とはいえ元々いろんな生物が生息していて、 そこに牛が入ることで負のインパクトもそれなりにあった3年だったと思います。 例えば、牛は若い木の皮を食べます。 皮を食べられた木は立ち枯れてしまいます。 耕作放棄地に生える草を牛が食べると、元々生えていた長い草がなくなって 日陰だったところに陽が当たり、土壌生物が減ってしまいました。

「生物多様性酪農 」 という言葉を作って牧場開拓のコンセプトとしてきましたが、ここには、

1. 牧場をやることで生き物が集まり、牧場ならではの生態系をつくること
2. 牧場の生産に関わる課題などを生物多様性の力で解決すること
という二つの意味があります。

今年も4月から生き物に関するイベントをさまざま企画しています。 これまでのようにビオトープを作ったり管理して生き物を増やして調査するイベントの他に、
・ダニ防止のために散布する薬品をなくすために生物多様性を活用するにはどうするのか?
・新規開拓の放牧エリアをどう牛で開拓していくか?
・アブやブヨをトンボやハチなどの力で多少制御できないか?
など、
酪農の生産性に関わる課題を、生物多様性酪農の力で解決できないか、ということにチャレンジしていこうと考えています。
また、益子牧場にも今年中に乳製品プラントを作る予定です。

ここから出る排水をバイオジオフィルター(微生物の働きを利用して水質を浄化する装置)で管理できないか?ということも検討したいと思っています。

こんな牧場の取り組みができるのも、牧場の生き物博士 野田航平がいるおかげで、生き物の魅力を目を輝かせて話す野田の活躍を、僕は今年も楽しみにしています。


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