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【道元と宇宙】8 デコボコな天命反転の家

洞窟を訪問する際に、
忘れてはならないのは、ヘルメットだ。
床も壁もデコボコで、
場所によって天井の高さも変わる。

 ふと気をぬいた拍子に、
硬い砂岩の天井に頭をぶつけると、
致命傷になりかねない。

洞窟生活は気を抜けない。
ヘルメットのない時代、狩猟採集民たちは、
天井や壁に頭をぶつけないよう
細心の注意をはらっていたことだろう。

それが、知能の発達や音素共有のために
よかったのかもしれない。

 5月に南アフリカから帰国すると、
国際縄文ストレッチの倉富和子先生が、
三鷹天命反転住宅に住み始めたことを知る。

 荒川修作(1936-2010)の天命反転住宅は、
デコボコの床をもつ家だ。
ここを洞窟に見立てて住めば、
言語が生まれた時の記憶が取り戻せるかも。
倉富和子先生が海外出張にいってお留守のときに、
天命反転住宅に泊まることをお許しいただき、
洞窟暮らしを体験した。

 その体験はnoteに書いたが、
デコボコの床であおむけになり、
舌打ち音は母音の雄叫びに発展した。

そうするうちに、
言語を獲得していく過程を体感し、
頤(おとがい)の発達が母音を生んだ
ということに気がついた。

荒川修作は道元のファンだった。
荒川修作が僕を道元に結びつけた。

 『ヘレン・ケラーまたは荒川修作』には、
道元の言葉が何度も引用されている。
その本で紹介されている荒川の図式絵画は、
正法眼蔵のいくつかの巻と結びつく。
画餅、観音、空華、虚空、、、。

 現代アートと禅は、共通点をもつ。
どちらも「常識にとらわれない考え方」を求める。
自分がもっている過去の記憶を参考にせず、
ひたすら今ここにある言葉と状況に意識を向ける。

答の出ない問いと静かに徹底的に向き合って、
あれやこれやと考える。

 デコボコな地面をさまよい歩くこと。
身体のことを忘れて、意識を集中させる坐禅。
それらを続けていると、
あるとき突然、
ひと皮むけた新しい自分自身が生まれる。
そんなことが実際に起こりえる。
だから、ひたすら学習し、ひたすら修行せよ。
それが、道元や荒川のメッセージなのだろう。

 前衛とは、人間の知能がどこまで発展するのか、
その可能性をとことん追求する人たちのことだ。 

道元と荒川が重なり、
一人の人物のように見えてきた。

 (写真は、2007年にクラシーズ河口洞窟前で、東京から持参した防災ヘルメットを著者が撮影したもの。クラシーズ河口洞窟前の海岸の石は、漬物石よりも大きいのがゴロゴロしていた。)


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【道元と宇宙】お話し会 日本縦断!!

≪臼杵≫ 2023年7月9日(日)14時~ 自然ヨガ道場
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