支えていてくれた人
自分が学生の頃は、小泉政権の真っ只中だった。
今思えば、政治の世界を知るきっかけとして、一番恵まれていた時代かもしれない。
おしゃれパーマをかけている総理大臣、艶やかな着物姿の扇千景さん、いつもニコニコしおじい、男性社会に物怖じしない田中眞紀子さん、その田中さんとは違うアプローチで男性社会を気にも留めない井脇ノブ子さん、年齢が比較的近く親近感が持てる当時の若手議員横粂さんと杉村さん。
改めて調べ直さずとも、頭の中でこれだけの方々がポンポンと浮かんでくる。
(誤字などあるかもしれませんが。)
当時学校で一番仲が良かった子は成績がクラス最下位だった。思春期をこじらせて変に計算ばかりしていた自分は、この子の成績が少しでも上がれば自分のポイントに繋がるだろうと目論み、父親が買った前日のスポーツ新聞政治一面を切り取って学校に持っていき、毎日のようにその子に見せては笑いながら解説し、楽しく政治の話をしていた。
当時は、大臣クラスの方々までしか追うことはできなかったので、その頃内閣官房副長官を務めていたとは昨日まで記憶に留まっていなかったその方が、天国へと行ってしまった。
自分は子供の頃から断続的に体調が悪く、生活に支障が出ている理由が何なのかずっと分からなかった。
親が一切目にしないNHKに自分が一人でハマり始めた頃、なんの番組だったか、放送内容と親から言われていることが真逆であることに気がついた。
NHKでは
「親から子への暴力も犯罪」
親の主張は
「殴られるような子どもでいることを反省し謝れ」
当時の自分はどちらが正解なのか分からなかった。
「テレビが嘘をつくわけがない」と、「親が犯罪者なわけがない」の間で、自分はまた体調を崩した。
よろめきながらも、地域包括支援センターという、虐待を受けた人のサポートなどをしてくれる場所までたどり着いた頃には、正解が出ていた。
被虐待認定を受け、あらゆるサポートを受けられるようになり、自分が何者なのかがようやく分かり始めてきた頃には、当時の内閣官房副長官は二度目の総理大臣職に就いていた。
騙されて殴られ続けてきた自分に別れを告げ、新しく本当の自分として生きてきたこの数年の大半が、その方が総理大臣を務めていた期間で、小泉内閣が「楽しそうな政治」であるならば、2年ほど前までは「人生に希望を抱かせてくれた政治」だった。
自分を直接助けてくれたのは地域包括支援センター(厳密にはもっとたくさんの機関が関わってくれている。)だが、社会福祉近辺のこの世界も、必ず政治と繋がっている。
「自分を救ってくれた時に政権のトップにいた人」をつい昨日、残虐な形で失い、人一倍ショックを受けている。
だからと言って、犯人に対して怒ってはならない。どれだけ怒ったってその人は二度と返ってこない。
怒りの連鎖を生めば、また悲しい事件は必ず起こる。
人に道や席を譲る、お年寄りが何か困っていたら声を掛けてみる、日々少しずつ、ただそれだけで良い。
そしてその隙間に、ただただ冥福を祈れば良い。
ようやくゆっくりできるから、安らかにお眠りください。
そうそう、当時ハマ公さんもいたね。暴力的だったけど、見慣れてる、ああいうの。