必読です。『止まった刻 検証・大川小事故』
2011年、東北地方太平洋沖地震のときの、大川小学校の事故については、なんとなく知っていただけだった。
河北新報社報道部『止まった刻 検証・大川小事故』
は、地元の新聞社が、事故を丁寧に検証した連載を本にしたものだ。
学校管理下で、津波により70人の児童が死亡し、行方不明者が4人。10人の教職員も亡くなったという事故である。
「丁寧な検証」というのは、確かにその通りなのであるが、「真相に迫りたいという執念による取材と考証」と言った方が正確だと思う。
そして、あのとき何が起こったのか、どのように対処したのか、何が間違っていたのか、ということを検証していくと、どうしても、事故は防げたのではないかという結論に至る。
そんなこと、ちっとも知らなかった。小学校に子どもを通わせている親として、学校とどう関わるのか、行政に任せておいていいのか、子どもに何を伝えたらよいのか、考えさせられることがたくさん詰まっている本だった。
事故の検証のため、199ページが費やされている。この執念は、ネット記事やテレビ番組ではどうしても表現できない。新聞連載でも、まとまっては読めないし、地方紙なので全国にはなかなか届かない。やはり、本という形態でなければならなかった。
犠牲を教訓にして、未来の事故をなくしたい、ということがどういうことなのか、よくわかった。
それにしても、親の無念がひしひしと伝わってくる。