見出し画像

ウォンバットと地蔵菩薩の誘惑、大阪・池田散歩記録

数年前の暮れ、とある美術展に行った帰りのことだった。館内に飾ってある他の美術館のポスターを眺めていると、見たことのない美術館の名前が目に入った。
逸翁美術館…?大阪なら全然行けるし、開催されている展覧会も楽しそうだ!行こう!
しかし、問題は会期があと数日しかないことであった。美術館への行き方をGoogleで検索する。最寄り駅は、阪急宝塚線の池田駅。美術館だけを目的に行くにしては、若干遠い。今回は諦めて別の機会にしよう…と、その時はとぼとぼ帰路についたのであった。

そして数年が経ち、ぼんやりとXを流し見していると、「地蔵と地獄」という面白そうな展覧会の情報がタイムラインにあらわれた。開催地は逸翁美術館。今度こそ訪問するチャンスである。しかし、池田駅というのは何があるのだろうかと、そのままXで検索してみる。すると、入場無料のローカルな動物園があり、そこでレアな動物が見られる…という情報が引っかかった。これはもう、行くしかないだろう。

というわけで大阪の阪急池田駅周辺を散歩することになった。
正直、池田市にはこれといったイメージがないまま足を運んだのだが、結論とてもたのしい街だった。



五月山動物園

池田に行くにあたり何があるのかXで検索して絶対行きたい!と思った場所。
阪急の池田駅から坂を登った五月山公園の中にある、入場無料の小さな動物園だ。

入口、かわいい

五月山動物園の目玉はこの子、

丸っこい

ウォンバット!

通りがかった時にちょうど小屋から出てきてくれた。か、かわいい。かわいいけど…思ったより大きいな?!一瞬小熊と誤認しそうなデカさだった。ぽてぽて歩いて草を食べていた。
日本ではここともう一園でしか見られないらしい。しかも五月山動物園だけで全6頭のうち4頭も飼育されている。そのため池田市は「ウォンバットと暮らすまち いけだ」を名乗っているそうだ。良い…。

タイヤの上で何かを咀嚼するヤギ

こういうローカルっぽいところ大好き!と言いたかったのだが、意外と外国人の観光客も来ていて驚いた。何を見たらここに辿り着くのだろうか。


池田城跡公園

城については全然詳しくないのだが、ネットで見た写真がきれいだったので寄ってみた。向かう道中ふと公園の方向を見たところ、高所に建つ城のようなものが見えたため、まさかあれでは…?と不安がよぎったが、その建物こそ池田城跡だった。

公園に向かう階段をひいひい言いながら登っていると、外国人の老夫婦が助け合いながらゆっくりと前を歩いていた。これはこんなところで音を上げている場合ではないと思い淡々と足を進める。

登りきってくたくたになり、とりあえず見えた芝生のベンチで休憩する。しばらく親子や子どもたちが鬼ごっこやシャボン玉で遊んでいるのをぼんやりと見ていた。京都に引っ越してからはあまり見なくなった光景だなと思った。

のどかだ

回復して城のような建物を見に行く。

鯉に餌をあげている人がいる

建物の2階に登れるようなので、中に入ってみると何らかの写真コンテストの入賞作と城の説明が少し書いてあった。

読むと、今の建物はかつての池田城を模したものではなく、公園を作るにあたり一般的な城のイメージで作った建物らしい。

右の説明に南北朝時代が!

そもそも池田城は築城がいつかも定かではなく、最古の文献は1336年の軍忠状で、南北朝内乱の際に北朝の軍勢が池田城で数日過ごしたと記載があるらしいが確かではないとのこと。その後池田を統治した荒木村重が1574年に別の城に引っ越したため廃城となった…らしい。南北朝時代好き足利尊氏最推しなので、名前が出てくるとそれだけで嬉しくなってしまう。

雲が重い

2階に登ると池田のまちが見渡せた。写真は多分、宝塚方面の景色だ。一通り眺めてみると、池田は山のすぐ下にあるから坂が多いのだなと分かった。


お昼ご飯(太郎兵衛寿司)

最近は、前もって調べずにその時出会った良さげなお店に行こうという思いがあり、実際これ以上ないほど良いところがあったのだが、割とお値段がしたため泣く泣く諦めた。そこから迷走してうろうろしていたが、結局池田駅に降り立って最初に見たお店に入ろうと思いつき、駅の方へと向かった。

栄町商店街入ってすぐのレトロっぽい見た目のお寿司屋さん。値段が安くて気になっていたので、来れてよかった。

これで1000円くらいだった

にぎり・うどん定食にした。ネタもシャリも大きくて満足。わさびが疲れてぼんやりする頭をすっきりさせてくれた。
外に出たらちょうど雨が降った後だった。ラッキーだ。


逸翁美術館

存在を知ってから数年越しにようやく来ることができた。なんとなく感慨深い気がした。

ホールも併設されている

企画展の「地蔵と地獄」は逸翁美術館所属の「地蔵十王像」が重要文化財に指定されたことを記念して開催されている。
仏の中では地蔵菩薩が一番好きだ。地獄をめぐり亡者に手を差し伸べてくれる存在であり、そして足利尊氏が深く信仰していた仏。

メインの「地蔵十王像」の他にもいくつか地蔵菩薩の仏画が展示されていてどれも美しかった。片足おろして座っているの、少し行儀悪く見えてそれが逆に好きだ。あと六道絵(文政本)の『人道不浄相図』が九相図みたいで面白かった。
ミュージアムショップに売っていた牡丹猫図のアクスタが可愛くて買うかしばらく悩んだ。通販もしているらしい。


小林一三記念館

逸翁美術館の近くにあったので行ってみる。阪急の生みの親、小林一三の旧邸であり現在は記念館とレストランになっている。ちなみに先ほどの逸翁美術館は小林一三のコレクションを所蔵する美術館であり、チケットを見せると100円割引してくれる(記念館→美術館でも割引がきく)。
ホームページの写真だけで茶室や西洋風の建物が見られることを期待していたら、小林一三の事績や関連人物のパネルが中心で(記念館だからそれはそう)、結構サッと流し見してしまったのだが、小林一三が東宝の創設者でもあることに驚いた。関東に住んでいた時は阪急を意識したことすらなかったが、こんなところで関わりがあったのか。


池田市役所前

上2つが結構早く見終わってしまい周辺に何かないか探したところ、久安寺という花がきれいな寺があるらしい!と場所を見たら山の方面に歩いて35分。無理だ…。そもそもドライブロードとか書いてあるし車で来た人向けなのだろう。こういう時に車持ってないかつ運転もできないことが悲しい。
(しかしあとで調べたら池田駅からバスがあったらしい、次の機会に…!)

駅の方に戻っている時に池田市市役所の前を通りかがったら、かわいいイラストが飾られていた。池田の観光地が詰め込まれている。

もちろんウォンバットがセンター

真ん中の山、大文字焼き…?と思ったら動物園のあった五月山で行われるそうだ。京都だけの行事かと勘違いしていた。


カップヌードルミュージア厶 大阪池田

時間潰しにカップヌードルミュージアムを覗きに行った。横浜の方には行ったことがあるが、池田にもあることは知らなかった。しかし安藤百福がチキンラーメンを発明したのは池田の地なので、むしろこちらが総本山である。ではなぜ横浜に…?と調べてみたら安藤百福の知名度を東日本でも上げたかったのが理由だそうだ。

横浜もこんな見た目だった気がする

入口でカップラーメン作りますか?と言われ、ちょっと悩んだがやめておいた。数ヶ月前に横浜のカップヌードルミュージアムの前を通った時は目を疑うほど混んでいたが、こちらは予約しなくても作れそうだった。

池田市観光大使を務めるひよこちゃん

建物の前の道のマンホールはひよこちゃん柄をしている。池田はマンホールの絵柄がたくさんあって面白い。五月山動物園に向かう道のマンホールはウォンバットの写真やイラストのデザインになっていた。


Cafe&Pancake Moi

もう少し池田に滞在したかったので、カフェに行こうと思い立った。池田は良い雰囲気のカフェがたくさんあり、巡り甲斐がありそうだった。

猫の入れ物がかわいい

猫の看板に惹かれて入店。パンケーキを食べられるほどの空腹具合ではなかったため、スフレチーズケーキとコーヒーを頼んだ。猫の入れ物が一緒に渡されて嬉しい。チーズケーキ、甘さ控えめで美味しかった。



総じて、池田は文化的なものが多いまちだと思った。あちこちに公園もあり、親子連れが遊びやすく(車がないと坂がきついが)、主要な観光スポットが駅の近くにまとまっているのもポイント高い。満足して帰路についた。


ーーー
最後までお読みいただきありがとうございます。
また一週間後に大阪のとあるお寺の特別拝観に行った記事を上げる予定です。大阪ばっかり行ってますがたまたまなので、今後は別の関西圏の散歩記事も上がると思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集