【左脳めし】マーケティングの基礎を学ぶなら|ドリルを売るには穴を売れ
佐藤義典 著「ドリルを売るには穴を売れ」は、マーケティングの基礎をわかりやすく説明したマーケティングの入門書。「そもそもマーケティングって何?」というところから学べます。
「マーケティングって難しそう」と思っているクリエイターには特にオススメ!
企画を立てるクリエイターは必読とも言える一冊です。
クリエイターにマーケティング理論を勧める理由
書籍名の「ドリルを売るには穴を売れ」は、マーケティングの世界で重要視されている格言です。著者はマーケティングの基本理論の1つ「ベネフィット」を説明する際に、この格言を用いています。
ベネフィットとは、「顧客にとっての価値」だ。あなたが工具のドリルを売っているとする。あなたにとっての売り物はドリルだが、顧客にとっては、ドリル自体ではなくドリルが開ける「穴」に価値があるのだ。この「穴」がベネフィットということになる。
顧客は「ドリル」を買っているわけではなく、「穴を開ける道具」を買っているのであり、あなたはドリルではなく「穴を開ける道具」を売っている。
クリエイターにマーケティング理論を勧めるのは、この「ベネフィット」を的確に捉えることで、クリエイターとユーザーとのミゾを埋めることができるからです。
ベネフィットについて、もう少し理解を深めていきましょう。
本書にあった腕時計の例が、とてもわかりやすかったので紹介します。
腕時計のベネフィットを考えてみよう!
あなたは今、腕時計をしているだろうか? しているとしたら、なぜ他の時計ではなくその腕時計を買ったのかという理由を、もし腕時計をしないのならその理由を、1分間でよいので考えて欲しい。
著者が同様の質問を数百人以上にした時、多かった答えは次の通り。
腕時計をしている人
◎安かったから ◎軽いから ◎電池交換の手間が省けるソーラー充電だったから ◎文字盤が大きくて見やすいから ◎常に正確な電波時計がほしかった ◎結納返しに高い高級時計をもらった ◎私服にもスーツにも合いそうなデザインだったから ◎あこがれのブランドを自分へのごほうびに
腕時計をしていない人
◎時間は携帯電話でわかるので不要 ◎重いしジャマになるから
これらが、「腕時計のベネフィット」となります。
時計の基本的な価値は「時間がわかる」ことですが、それ以外にも、これだけの「顧客にとっての価値」を提供している。本書はそう教えてくれます。
マーケティングは身近なもの
クリエイターも、普段の日常生活では「買い手」です。著者は前述した「ドリル」と「穴」でベネフィットを説明した後、次のように述べています。
これは、買い手にとっては当たり前のことだが、ほとんどの人は売り手になった瞬間に忘れてしまう。マーケティングに特殊な理論は存在しない。あなたが買い手であるときにはすべて知っていることであり、その当たり前のことを体系化したのが「マーケティング」なのだ。
「作り手」か「売り手」か
サラリーマンクリエイターの場合、勤めている会社では大抵、制作部署と販売部署が分かれています。だからでしょうか、サラリーマンクリエイターの中には自らを「作り手」と認識していても「売り手」と認識していないことがあります。
しかし、クリエイターは「作り手」でもあり、「売り手」でもあります。
別の言い方をすると、買い手にとって、誰が作り手で誰が売り手であるかはどうでもいいことです。ベネフィットを満たしているか否かの方が肝心です。
もし、作り手として「作ったものが、なかなか受け入れられてもらえない」といった行き詰まりを感じたら、自分が売り手でもあることを思い出し、行き詰まりから脱出するヒントをマーケティングから探してみて下さい。
作り手であろうと、売り手であろうと、向き合っている相手は「顧客」です。
一方、マーケティング理論も顧客と向き合っています。だから、作り手と売り手の区別なく、役立てられることがきっと見つかります。
ベネフィット以外にも目を向けてみよう!
ベネフィットはマーケティングにおける基本理論の1つに過ぎません。マーケティングには、他にも様々な理論があります。その中には、ベネフィットを生かすために欠かせないものもあります。ぜひ、他の理論にも触れてみて下さい。
短時間で学びたい方には以下がオススメです。
「ドリルを売るには穴を売れ」には、理論に基づいたストーリーがあり、これはそのストーリー部分を漫画にしたものです。
物語を楽しみながら、短時間でマーケティングの基礎に触れることができます。
左脳めしとは?
左脳が司る「論理的思考力」の栄養源となるコンテンツです。
東雲創作堂では、クリエイター向けに様々な左脳めしを紹介しています。