子どもの『やりたい』をどう支える? 親ができる見守りとサポート
子どもの挑戦を支える親として大切なこと
子どもが幼いころ、親が主体的に動いて、療育や支援につなげていた経験をお持ちの方も多いと思います。小さいうちは親がリードすることで、安心して生活できる環境を整えてあげられましたよね。
しかし、成長するにつれて、子ども自身の意思が強くなり、「自分でやりたい」という気持ちが芽生えてきます。このとき、親は「いつまでも手を出していると、自立の妨げになるのではないか」と悩む一方、「無理せず、傷つかず、安全な環境で生きてほしい」と願うジレンマに直面します。
大切なのは、苦手なことをサポートしながらも、「自分の人生のことだから、自分で考えて決めることが大事だよ」と伝えることです。たとえば、進路選びやアルバイトを始める話が出たとき、親が全てを決めるのではなく、「どうしたい?」「これを選んだらどんなことが起きると思う?」と問いかけて、子ども自身に考えさせる機会をつくることが重要です。
子どもの「自分で決める力」を育てるために
発達の特性に悩み、発達障がいについて詳しい親御さんほど、子どもの挑戦には心配が尽きないかもしれません。さらに、社会の理解の乏しさや支援制度の不足を知るほど、将来への不安が大きくなるのは自然なことです。
ですが、親のサポートのもとで子どもがチャレンジする経験を積むことで、社会で生きていくためのスキルや自信を身につけることができます。
チャレンジのタイミングを見極める
あるお母さんは、息子さんが「音楽が好きだから、バンド活動をしてみたい」と言ったとき、「すぐに機材を揃えてバンドの練習場を探そう」と動き出しました。しかし、息子さんはそこまで具体的に考えておらず、まずは身近な友達と一緒に演奏を楽しむ程度の気持ちだったそうです。結果的に親が焦りすぎたことで、息子さんにプレッシャーを与えてしまったと気づいたと話してくださいました。
お子さんが「料理を学びたい」と言った場合も、「具体的にどんな料理を作りたいのか」「どうして興味を持ったのか」を一緒に話し合うことで、子どもの意思を確認できます。また、本人がまだ迷っている段階であれば、すぐに行動を起こすのではなく、料理教室の見学や動画を見るなど、無理のない一歩から始めることができます。
子どもの「やりたい」という言葉を聞くと、親はつい早急に動いてしまいがちですが、大切なのはその「やりたい」が本当に本人の意思から来ているのか、あるいは「何かをしなければならない」という義務感から出てきた言葉なのかを見極めることです。
親の声かけとサポートの重要性
また、親が心配から否定的な言葉を口にすると、「自分のやりたいことを邪魔された」と感じてしまうことがあります。たとえば、「そんなの無理じゃない?」という一言が、子どもにとっては「自分は信じてもらえていない」「否定された」と受け取られることもよくあります。
声をかけるときには、「いいね、どうしたら実現できるかな?」とポジティブな方向に話を進めたり、「困ったときは相談してね」と、見守る姿勢を示すことが大切です。
親としてできること
もちろん、子どもが未熟さから不安を抱え、挑戦できないときもあります。その場合は、「どんなふうに始めれば安心かな?」と一緒に考え、小さなステップを提案することが役立つでしょう。
親の心配をよそに、子どもが一生懸命に挑戦し、苦労しながらもたくましく成長していく姿を見るとき、「見守るサポート」の大切さを実感できるはずです。
子どもの「やりたい」という思いを尊重しながら、地道にサポートし、見守る。そんな親の姿勢が、子どもにとって何よりの力になる。活動を通して、親子関係の変化を見ながら「子どもが安心できるサポーター」であることの大切さを感じています。