「見守る大人がいる街」へ〜私の補導員としての歩み〜
皆さんは、自分の住む街がどんな場所であってほしいと願いますか?
私は、常々「子どもたちが安心して暮らせる街」であってほしいと願っています。
地域の少年補導員になったきっかけ
私が少年補導員として活動を始めたのは8年前。不登校保護者支援をしていることを知っていた、当時の少年補導員の会長に声をかけられたことがきっかけです。
「杉浦さんがサポートしている保護者の子どもたちは不登校かもしれんが、非行に走る子どもたちを持つ親も一緒じゃないかな?その子たちの笑顔のために、その家庭の親たちを支援してほしい。」と言われました。
当時の春日市の少年補導員は男性ばかりで女性は一人もいませんでした。また、近年はひとり親家庭も増えつつあり、多様な家庭に寄り添うには母親目線も必要だと感じたことと、子どもたちにとって安心して過ごせる場所を作りたいという思いが強くなり、この活動に踏み出しました。
少年補導員の活動は、決して特別なことではありません。挨拶を交わしながら「気をつけて帰ってね」「遅くならないようにね」と声をかけることです。ですが、その行動一つひとつが、子どもたちに「見てるよ」「気にかけてるよ」というメッセージを伝える手段なのです。
もちろん、地域を歩いているだけではすぐに効果が現れるわけではありません。ですが、子どもたちが「見守ってくれる大人がいる」と感じられること、それが地域全体の安心感につながるのではないかと思っています。
虐待を受けた子どもたち
活動を続ける中で気づいたことがあります。それは、犯罪や非行に関わる子どもたちの中には、過去に虐待を受けた経験を持つ子がいるという現実です。
「どうして?」と思い戸惑う場面もたくさんありますが、その背景には、彼らが「そうしなければ生きてこれなかった」という状況があったことが伺えます。
だからこそ、私たち大人が子どもたちに対して「対等に接すること」がとても大切だと感じています。どんな子どもたちにも、「自分のことをちゃんと見てくれる大人がいる」という安心感を持ってほしい。私の活動の原動力はそこにあります。
地域の安全と未来のために
福岡県では、少年犯罪の再犯率が全国平均よりも高い状況にあります。こうした数字を見ると、改めて私たち地域の大人が果たすべき役割の大きさを感じています。
パトロールを通じて、「地域には気軽に話せる大人がいるんだ」と子どもたちに思ってもらえるような存在でありたい。そして、犯罪を起こそうとしている人たちへの抑止力になればとも思っています。
「声をかけるだけで何が変わるの?」と思うかもしれません。ですが、小さな行動の積み重ねが、地域の未来を変えていくと私たちは信じています。
不登校保護者支援から広がる活動の輪
私の活動の原点である、困難を抱える保護者に寄り添う活動の中で、子どもたちが自分らしく安心して過ごせる環境づくりの大切さに気づきました。
そして、「学校に行かない」「行けない」という状況に限らず、地域全体で子どもたちを見守る仕組みが必要だと考えるようになったのです。
補導員としての活動を通じて、地域と子どもたちをつなぐ「架け橋」のような存在になれたらと思っています。これからも、「自分が住む街をよくしたい」という思いを胸に、活動を続けていきます。