組織設計都市計画系の就活を整理してみた#1/2<業界分析編>
今年の3月初めにありがたいことに就職を希望していた組織設計事務所の都市計画・都市開発部署から内定を頂き、気づけば世の中は10/1となって、内定式の様相を呈している。ちなみに私が行く会社の内定式は10/3(月)だった。
これまで何度か就職活動について書こうとか考えていた時期はあって、なんとなく書く気が起きずに止めておいたのだが、一個下の後輩(大学院生1年生・修士1年)から就職活動として夏インターンに行ってきた話を聞いたり、自分の作ったポートフォリオやエントリーシート、業界分析を見せたり話したりする機会が増えて、少し思い出したということもあって、バッとまとめてみようと思った次第です。
今回の話の構成としては、
そして、少し自己紹介、
という人間です。
1.都市計画・まちづくり系大学院生からみた就活の業界分析
ではまず、業界分析から始めます。都市計画系は意匠系にも計画系にも進める可能性があり、文理関係ない総合職就活をすることもあり得るという特殊な分野だと思っています。という理由もあり、まずは業界分析。
ただ、すでにこの時期の就活生は済んでいることかもしれないので、ザっと話しておきます。あと先に言っておくと、業界分析にはかなり自分の人的つながりや自分の考えというフィルターがかかっているので、「私はこういう業界分析をして、この業界に絞ったよ」という話だと思ってほしいです。
そのために少しだけ自分の好きな分野・専門分野の話をしておこうと思います。
そんな私自身の専門分野を前提・文脈として業界分析を見てもらえると見やすいかなと思います。
1-1.建築・都市計画(開発)業界とは
先ほども書いたが、私たち都市計画系を専門分野としている学生にとってこの業界は、志望する業界が広くて、その割に一企業あたりの定員数が少ない事が多いという就活のビジネス市場的にニッチであるため、いわゆる就活サイトにあまり有益な情報が乗らない業界だと感じているので、全体感を始めに話したいと思います。
また、一社あたりの学生競争倍率は高いんですよね。
さて業界分析をやってみるわけですが、私個人として、建築・都市業界を就活という視点で視る時には二つの視点で視るようにしていました。
一つは業務内容、もう一つが都市開発・都市計画における役割です。
二つとも大きくは変わらないのですが、業務内容が同じような見えても、都市開発や都市計画に対してどのような立場(発注側か受注側かなど)で関わっているかによっても異なることに就活をしながら気づいたので、このような分け方になっています。
では、視点ごとに全体像を整理してみたので、図を出してみます。
☆業務内容という観点から視たとき
自分の将来の仕事を考える時、あんまり気にしないことかもしれませんが、その仕事が主に『発注側』なのか『受注側』かは意外と大事だと思っています。
発注側は、企画自体をデザインして、人に頼んだり一緒に考えたりという仕事が主になりますし、受注側は、クライアントの要望や意図を汲みながら自分たちの考えを入れ込んでデザインする仕事が主になるのではないかと思います。
そういった意味でも自分はどちら側なのか(もちろん受注側に書いてある職種も発注側にもなり得るが)、今までのチームでの活動も参考にしながら考えてみても良いかもしれません。
こういった考え方が自己PRとか志望理由を書く時に、自分のやってきたことと志望理由をリンクさせることができるかなと思っています。
☆役割という観点から視たとき
まず、自分が就活していた時に疑問に思っていたことが一つあります。
『組織設計とコンサルってやっていること一緒だよな?』と。
でも一緒だと思っていたら、面接で『なんで、うちの会社なの?』という質問で答えられないので、説明会でそのあたりをどこの会社に行っても聞いていました。
そこからできたのが上記のような図です。
ここでは組織設計事務所と都市計画コンサルタンツの違いだけを書き残しておきます。
組織設計事務所は、基本的に計画・開発部門と設計部門(意匠・構造・設備など)に分かれています。そして歴史的に設計部から分離・独立する形で計画・開発部門が出来上がっていることが多いようです。
一方、都市計画コンサルは、歴史的に全国的にインフラ整備を要した60~70年代に行政の仕事をコンサルティングするというビジネスモデルから生まれています。(最初期の都市コンサルは浅田孝らによる環境開発センター)
この違いにより、組織設計事務所の計画・開発部門は、設計部門に計画をバトンタッチしていくことが主な役割であり、建物を建てるということへのコンサルティングを多く行っています。
そして、都市計画コンサルは、行政計画やインフラ整備などの中心に、会社によって民間開発や企画運営なども行っている印象があります。
もちろん会社によって、もっとグラデーションがありますが、大まかに言うと以下のようになるかなと思います。
例えば2つの視点をもって、各業界・企業を見てみると、「全く」同じように見えていたものが少しずつ違いが見えてくるかと思います。
その手助けになるフレームワークの一つだと思ってもらえば幸いです。
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1-2.企業分析について
さて、業界分析ができたら企業分析です。
よくある就活支援サイトと同じ流れですので、流れの部分はそっちでカバーしてもらえばと思います。
ここでは、組織設計事務所や都市計画コンサルタンツの企業分析をどうやって行ってきたのか書き起こしておきたいと思います。
特に計画・開発系部門の分析になりますので、意匠系や構造系、設備系の人はすみません。
おそらくこれも今の時期だと大体済んでいる人もいるかもしれませんが、私個人としてどのように整理していたかを少しだけ書いておきたいと思います。
私は、Googleのスプレッドシートを利用して、説明会やインターン、OB訪問で知った企業のこと、社員さんのことは一つにまとめておくようにしていました。
(これは私の性格上、まとめておきたいという癖が講じたものでもあります。)
スプレッドシート(エクセルでも良いと思うが)のいいところは一つのファイルで複数のシートが管理できるので、下にもありますが、エントリーした企業のマイページ情報(URL、パスワード、就活スケジュールなど)の整理や企業の比較といったことが一つのファイルに保存しておけます。
すぐ忘れてしまう性格で、まとめておくと、これを開けばわかるし、やる気も少し出てくるので、スプレッドシートでなくても少しまとめておくといいんじゃないかと思います。
ちゃんとまとめておけば、本選考の時の志望理由とかの材料にもなるかもしれません。
では、具体的に2つの業界についてみていきたいと思います。
ただ、ざっと私の方から企業を出すと漏れや偏りがでてくるので、お勧めのサイトを書いておきたいと思います。
一般的な就活生は四季報とかを見て企業を知り、勉強していくのかもしれませんが、建築系、特に都市計画系の企業は一部上場企業は少ない印象があり、あまり参考にならないというのが個人的な所感でした。なので、先輩から聞くとか先生から聞くといったコミュニティの中で情報を仕入れるのが、一般的かなと思います。
とはいえ、当然ですが、それだと全体像は把握できません。
その時にオススメなのが『日経クロステック』『日経アーキテクチュア』などの専門の情報誌です。
オンラインだと有料記事ですが、研究室などで定期購読している場合は紙媒体でも載っているので、そちらを見てみるといいと思います。
そこにはその年度の売上がランキング形式で書かれています。
ランキングを重要視してもいいのですが、ここでは、会社の名前と事業ごとの売上割合を見るのをオススメします。
とにかくランキングに入っている50社近くを知れるので、企業勉強のスクリーニングに使えますし、事業セクションごとの売上『割合』をみると、どこに注力しているのか、事業規模が大きいのかが、なんとなく把握できます。
そこから、各企業のHPに飛んで、色々調べてみると企業の全体感だけではなく、業界の全体感も把握できるのではないかと感じています。
ちなみに私は組織設計事務所をこれを参考に調べて、最終的に10社弱に応募しました。言い方はよくないかもですが、『ローラー作戦』でした。
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さて、少し書いていたら長くなってしまったので、今回は<業界分析編>として、次回に<経験談・アドバイス編>としたいと思います。
ちなみに、今回は全体像を話しましたが、次回は自分の就職活動で具体的に活動していた組織設計事務所や都市計画コンサルタンツの計画・開発部門に絞って書いていこうと思います。
次は、より詳しく周辺の就活スケジュール、作成したポートフォリオ、プレゼンテーションで気を付けたことなどを話していけたらと思います。
それでは、次回に続く >>>
組織設計都市計画系の就活を整理してみた#2/2<経験談・アドバイス編>
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~追伸~
なんとなく最近、後輩たちと話していると、就活の話をするとすごく大変そうな顔をするんですよね。もちろん私も就活をやっていた時は就活のことを考えている時が嫌で、いろんなことに逃げていましたので気持ちはわかります。
ただ、先輩に、
「こんなに色んな会社のことを調べて、色んな会社に勤めている社員の人に話を聞ける機会は、社会人になるとあまり多くないから、色んな会社のことや社員さんを知って、楽しめる所は楽しんで乗り切って下さい…!」
と言われて、それ以降のOB訪問が少し気楽になったことがありました。
まあ、そんなに楽しめはしませんでしたが、会社に入れば、その会社を中心に生活は回ってしまうので、社会にある同じような分野の会社を俯瞰的・客観的に見れる機会って学生のうちしかないのだと思います。