【詩】library/ 窓辺にて
(はじめに)
晩秋と呼ばれる季節が好きである。朝晩の
冷え込みは厳しさを増し、風は鋭利な刃物の
切っ先を思わせる、冬に向かってすべてを研
ぎ澄ます感覚がたまらなく好きである。
私の中でも言葉を研ぎ澄ますイメージで、
詩作に取り組もうとするのだが、言葉が降り
てきたことなどない。言葉が降りてくると言
う人が本当に羨ましい。
今回も、scarlet👒さまに御了承いただきま
した。【collaboration✨】作品 第2弾になり
ます。
では、ごゆるりとどうぞ─────
頬杖をついて眠っていました
短い眠りの中あなたに触れていました
窓辺のやわらかな日差し
メタセコイアの木が色づいています
手元に置いた本を
もういちど、ひらく気にならなかったのは
不意にあなたが夢に現れたので
車いすを使用してからの
あなたが見ていた目線の世界に
わたしはほんとうに
寄り添うことが出来たでしょうか
近くにいることが出来たでしょうか
ちいさな手でした
つないだ指の感触はもう
知っているものではありませんでしたが
あなたに間違いありませんでした
風の輪郭を捉えることが出来ないように
あなたには会えません
一緒に見た風景に
笑っているあなたを探すことは可能です
メタセコイアの木が色づいています
冷気が街を埋めつくす今日
いつの間にか頬は濡れ
指の背で拭ってしまえば済みますが
拭ってしまえば
二度とあなたは現れてくれない気がしたので
窓辺の席に座ったまま
乾くまで居させてくださいますか
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(ちょっとだけ解説)
あらためまして、scarlet👒さまの素晴らし
い作品に感謝いたします。作品に出会えたか
らこそ、言葉を紡ぐことが出来ました。心地
よいシンフォニーを奏でることは出来たでし
ょうか?
そのあたりの判断は、読んでくださいまし
た皆さまにお任せしたいと思います。お体、
御自愛くださいませ。
「 来月また、お待ちいたしております 」
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