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#59 コックピット

みなさま、お疲れ様です。日本オフィスは3連休中ですね。
台湾は先週木曜日、香港は金曜日が祝日だったということで、連休な週末、どんな過ごし方をされたのでしょうか。

僕は色々節目(社内の体制変更や、45歳という自分の中でマイルストーンを置いていた年齢に達したり)なので、時たま読み返すバイブルの一冊「ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則」を読みながら、Vponの今の状況を想像しながら本と行ったり来たりしながら抽象具体の階段を昇り降りしておりました。疲れました。筋トレよりも疲れます。

同時に、Netflixに上がっていた「GOOD LUCK」を一気に見ました。木村拓哉さん主演で、堤真一さんや柴崎コウさん出演の、パイロットを主人公としたドラマで、仕事に対する姿勢や思い、過去への後悔や未練、未来の希望を描いた作品で、当時DVDボックスを買うほど好きなドラマでした。
20年前を思い出しながら新卒でルイヴィトンに入社する前のドキドキしていたあの頃、ANAで広島に行き一人暮らしする部屋を探していたことを思い出しました。たしかスノーボードで腕を骨折していた記憶。
GOOD LUCKの影響か、なぜかずっとANA派、離陸前のANAの機内テーマ曲が好きです。

ビジョナリーカンパニー②に、「自由と規律」という話が出てきます。
規律の文化の醸成。人ではなく、システムを管理する。

バランスがとても難しいのですが、その時、その組織のおかれたシチュエーション、目指す世界観、等によって最適なバランスが求められますが、総じてGreat Companyと言われる組織はこのバランスとチューニング、こだわりの習慣がすごいのだと。

規律と創造性の関係
ビジョナリーカンパニー②より

組織にはどうしても枠組みがあり外してはいけないラインがあります。それは法律遵守はもちろん、その組織が掲げるミッションやビジョン、規律を維持するための決まり事、そういった枠組みの中でどう自由と規律のバランスをとり、組織パフォーマンスの最大化を図るかは組織のフェーズに応じて設計、再設計、見直しが必要です。

この本で、枠組みのなかの自由と規律というトピックで書かれている例えが航空機とパイロットの例えがとても納得感があります。抜粋して書いてみます。

コックピットの機長席に座ると、多数の複雑なスイッチや計器があり、8400万ドルの巨大な機械に責任を負う。乗客が頭上のクローゼットに手荷物を押し込み、客室乗務員が乗客全員を席につけるために走り回っているころ、パイロットはフライト前のチェック項目を点検している。ひとつずつ順を追って、組織的にすべての項目をチェックする。
離陸の準備が終わると、航空管制官と交信し、その指示に厳密に従う。ゲートからどの方向に向かうのか、どの誘導路を使うのか、どの滑走路を使うのか、どの方向に滑走するのか、すべてを指示される。許可が出てはじめて、エンジンの出力をあげて離陸する。離陸後も、航空管制官とつねに交信して、民間航空機の航空路に指定されている狭い空域を飛行する。
しかし、着陸間近になって激しい雷雨に見舞われることもある。機体は強風にあおられ、しかも横風が不規則に変化するので、右に左に傾く。窓の外には地上は見えない。灰色の雲が濃くなり薄くなり、雨が窓に叩きつける。客室乗務員からのアナウンスがある。「着陸まで、お席を離れないようにとの指示が出されております。シートを一杯まで立て、お荷物はすべて前のシートの下に入れてください。間もなく着陸します。」
「滑走路の手前に着陸しないだろうな」と旅慣れない乗客は不安になる。風が激しく、稲妻も時折光っているからだ。しかし旅慣れた乗客は雑誌を読み続けていたり、隣の人と話し込んでいたり、到着後の会議に備えていたりする。「こんなことは何度もあった。安全を確認して着陸するんだろう」と考えている。
案の定、車輪をおろし、五百トン近い巨体が時速二百キロにまで減速して滑走路に近づいた時、エンジン音が突然高まり、乗客はシートに身体が押しつけられるのを感じた。航空機は加速して上空に戻る。大きな円弧を描いて、空港に戻る。パイロットはこの時間を使って、機内放送で状況を伝える。「ご説明します。横風が強かったため、着陸を中止しました。もう一度試みます」。次には風がちょうど弱まり、安全に着陸できた。
ここで、パイロットの動きについてちょっと考えてみよう。パイロットはきわめて厳格な枠組みのなかではたらいている。この枠組みから離れる自由はもっていない(パイロットが機内放送でこう話すのを聞きたいとは思わないはずだ。「最近読んだ経営書に、エンパワーメントの価値が説かれていたんだ。実験の自由、創造性を発揮する自由、起業家精神を発揮する自由、大量のものを試してうまくいったものを残す自由、今日はこれをやってみたい」。)しかし同時に、離陸するかどうか、着陸するかどうか、着陸を止めるかどうか、別の空港に向かうかどうかといった決定的な判断は、パイロットに任されている。枠組みは厳格でも、ひとつの中心的な事業ははっきりしている。パイロットは航空機と乗客乗務員の生命に対して、最終的な責任を負っているのだ。
ここで主張したいのは、航空管制制度のような厳格で厳密なシステムを作るべきだということではない。航空機は企業とは違う。ひとつ間違えれば粉々になって数百人が命を落とす。だが、航空会社の顧客サービスはなんともいただけない場合があるとしても、安全に目的地に行き着けることだけはまずだしかだと安心できる。ここでパイロットの話を持ち出したのは、良好から偉大に飛躍した企業の内部の動きを見ていくと、航空機パイロットの方式のうち、最善の部分を思い出させるものがあるからだ。つまり、高度に発達した枠組みの中での自由と責任である。
偉大な実績に飛躍した企業は、はっきりした制約のある一貫したシステムを構築しているが、同時に、このシステムの枠組みの中で、従業員に自由と責任を与えている。みずから規律を守るので管理の必要のない人たちを雇い、人間ではなく、システムを管理している。

ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則

GOOD LUCKの中盤頃の回でも、香港から成田に飛んだフライトが悪天候で着陸できず、新千歳に向かい給油後再度成田にトライし無事に成田に着陸するシーンがありましたが、あれなんかも機長の判断(天候、乗客、さまざまな要素の中で)は枠組みの中での規律と自由の中での決断であり、機長が違えば判断も異なるでしょうから面白いものです。あれだけ航空統制された環境下で機長の判断の自由度がある。(ドラマの話であり実際どこまで許容されているかは知りません)

組織運営も同様に、組織が大きくなればなるほど、上記図に挙げたような組織マネジメントの弊害(官僚的、階層的)が生まれるわけですが、かといって起業家的組織過ぎても成長は早晩頭打ちするわけです。一言で言ってしまえばバランスということになるのでしょうが、非言語コミュニケーションも含め、さらには昨今のリモートワーク、国を超えた組織の働き方など、考えれば考えるほど難しいものだと錯覚してしまいます。

ビジョナリーカンパニー②で、3つの円の重なりの話があります。

情熱を持って取り組めるもの、
自社が世界一になれる部分、
経済的原動力になるもの、

これらの重なりの部分にフォーカスしていこうという話なのですが、僕なりの解釈で当てはめたのが下記の図です。

要はミッションとビジョンと重要な経営指標であるKPIの重なりを目指した先に、Great Companyの到達点があるのではないかと。さらにそれを下支えするのがVpon Wayといういわゆる働く哲学とマインドセットを謳った僕らのベースとなる人としての生き方・考え方・働き方です。

枠組みの中の規律と自由とは、その枠組み(ミッションとビジョン)を明確に内外に示し、規律(KPIと働き方やマインドセット)を定義して実装すること、そしてそれ以外を自由と定義して、プレイフル・360度感謝で事にあたれば、十分成立するというのが僕の整理です。

ところで、サッカーというスポーツは枠組みの中の規律と自由ということが感覚的に理解しやすいスポーツです。スタートアップ経営にサッカーマネジメント理論はめちゃくちゃ役立つと思っています。僕はサッカーで育って、単純にサッカーをしたりサッカーチームマネジメントの考察が好きなので、フォーメーション論やベンチマネジメントなど勉強していますが、そのまま経営組織に使えます。
サッカーチームマネジメントと経営組織論については、また別で書いてみたいと思います。

直近見たパイロットドラマ「GOOD LUCK」から読み返したビジョナリーカンパニー②のパイロットと航空管制のたとえ、そこから現状考えるVponという組織へのあてはめ、散文ですが思いを書きました。

それでは日本チームは明日もHave a Nice Holiday!
全オフィス、今週も、GOOD LUCK!!で参りましょう^^

Shino


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