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The Wと審査員について

The W面白かったです。

女芸人というセクシャリティを一面に推した、時代と逆行する賞レースも回を重ね、また、優勝者の活躍によって認知度が広まってきました。当初の「女芸人」というくくりで賞レースは如何なものか、という批判や指摘も少なくなってきたところを見ると、世間の違和感も初めから大きなものではなかったのかもしれません。

今年のThe Wも人間観察をテーマにしたようなネタが多かったですね。「こういうやついる」「こういう人って変だよな」という共感からくる笑いを重視しようとするのは、それこそ女性らしいネタだったのかもしれません。

ところが決勝に残ったのは、破壊力の強い狂気的なネタばかり。共感を呼ばない決勝の3組のネタが選ばれたということは、次回以降の大会でのネタ選びも変わってくるのかなと思っています。その流れを作ったのは、今回の決勝に残った3組の芸人でした。

優勝のオダウエダもAマッソも天才ピアニストも面白くて、決勝に納得の3組でした。これまでの大会より確実にレベルアップしています。
突然発生したよくわからない賞レースだったものが数年経ち、若手の目指す舞台に変わりつつあります。来年以降も間違いなく面白くなっていく大会だと思っています。



今回の大会は、審査についての批判が多くありました。
現在の審査システムは、1組目と2組目が対決して勝った方を暫定1位とし、3組目以降は暫定1位の組と得点を競うという勝ち残り方式です。これだと1組目の印象と5組目の印象の残り方が変わり、5組目が新鮮に映る分優位だという指摘が多くあります。
個人的には、この審査システムは審査員が一貫した態度であれば問題ないと思っています。点数をつけるシステムでも、審査員がやっていることは常に1組目との比較です。それにこの評価方式では、複数のコンビに同じ点数を連発するということも防げます。常にどちらかを選ばないといけない、という状況で審査員の見方はシビアになるはずです。
ただ、AvsBではAの勝ち、BvsCではBの勝ち、CvsAではCの勝ち、のようにジャンケンのようなジャッジであれば、5組目の方が有利になる可能性があります。なので、この審査システムがどうかというよりも、審査員がネタを測るものさしが一定かというところにあると思います。

例えば、M-1グランプリでは巨人師匠の審査が明快です。ゆるいテンポの掛け合いから後半尻上がりにウケていく漫才を理想と話しており、その自身の理想に基づいた点数を毎年つけています。
ネタの新しさや最大瞬間風速で勝負するネタには高得点をつけないので、最近の大会では周りの審査員と点数が離れることも増えてきました。ですが、それで良いと思います。漫才に対する評価軸があり、それがブレていないということですからね。定まった評価軸がはっきりすれば、芸人が目指すお笑いもはっきりしてくるはずです。


なので、The Wを面白くするには今後も審査員の固定化が必要だと思います。
ですが、今回はアンガールズ田中の審査が気になりました。
田中はコメントでネタの面白いポイントを分かりやすく解説していて芸人愛を感じました。ですが、評価の基準になったポイントが細かく、また、そのポイントが二転三転しているように感じました。もう少し審査員として大局的にネタを見てほしいなと思います。
今回の審査は本人にとっても納得がいっていないと思うので、来年も続投なら頑張って欲しいです。

来年は審査よりも出場芸人が話題になる大会となることを願っています。



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