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週末に読んだものたちと、ジブラルタルの寂寥

今週末はあまりアクティブに動くでもなく、SNSにもあまり触れずに、部屋にこもってアプリや紙の漫画を読んだり、本棚の本を読み返したりする週末だった。
我ながらよく読んだ。

読破したのもあるが、何話か読んだだけというものを含めれば、
アプリで『べしゃり暮らし』『プラネテス』『美味しんぼ』『忘却バッテリー』『こういうのがいい』『オーイ!とんぼ』『新ナニワ金融道』『ショーハショーテン!』、
紙のマンガで『預言者ピッピ』『波よ聞いてくれ』『デスノート』、
紙の書籍で『幕末史』(半藤一利)『TVディレクターの演出術』(高橋弘樹)『村上春樹雑文集』(村上春樹)『東京八景』(太宰治)、
と、これだけこの土日で読んでいる。SNS閲覧の暇もなかろうというものだ。
ちなみにNetflixに『エヴリシング・エヴリウェア・オール・アット・ワンス』が来ていたので、冒頭から1時間ほど観たのだが、そこで止まっている。「物語疲れ」があったのかもしれない。

『忘却バッテリー』、広告でよく見る作品だったが、アニメ化も決まっているという人気作だった。少年野球漫画らしい「スターもの」だが、知将キャラであるはずの捕手の記憶喪失(というか実際には別人格)があまりにもアホなのが物語に上手い落差を作っている。ただの野球ヒーローがライバルと戦い活躍する話だったら普通だが、こういう爆弾設定一発で上手な違いを生み出している。

『オーイ!とんぼ』はゴルフ雑誌連載のありがちなゴルフ漫画…かと思ったら意外に面白くて惹き込まれた。賭けゴルフでプロを廃業させられて家族も職も失った50男が、ゴルフに無関係に職を求めてたどり着いた南西の孤島でゴルフの天才少女と出会う話である。これもテレビアニメ化が決まっていた。主人公に天才少女を設定したのが上手いというか、やっぱりみんな天才少年少女の話が好きなのである。

『新ナニワ金融道』、今は亡き青木雄二のあとを継いだ作者が、当時の『ナニ金』とほとんど同じ絵とキャラで描く「続き」である。そういう意味ではコージィ城倉の『キャプテン2』『プレイボール2』に似た試みだろうか。『新ナニ』は主人公は前作同様に灰原だし、桑田さんや金畑社長、朱美さんなんかも引き続き登場する。前作を読んだ方ならお馴染みの肉欲棒太郎(すごい名前だよなあ)もキーパーソンとしてしっかり出てくる。なかなか面白く読めた。

あと、たまたま本棚で手に取った太宰治の本の中にあった『東京八景』、実は読んでなかったなと思って読み始めたらなかなか読ませる(文豪になんて失礼な言い草)。自殺未遂を含めた生活苦についてや女性とのやり取りなどの個人的なことを書き綴ったものなのだが、読点多めの文章のリズムが良い。フレーズが絶妙で、上手いなと思わせる。

いくつかピックアップすると、そんな感じ。

それとはまったく別のラインで(別のラインってなんだろうか)、YouTube動画もいくつか見ているわけだが、個人的に興味があったのはこれであった。

8マイル、つまり12〜13kmほどしか距離のないジブラルタル海峡に橋が作られないのはなぜか?という検証動画である。確かにここに橋ができたら、ヨーロッパ(スペイン)とアフリカ(モロッコ)を繋ぐ交通輸送路の要所としてかなり経済効率が良さそうなのだが、いまだに作られていない理由がいくつもありますよ、という話だった。説明は面倒くさいので上記の動画を見てください。

「ヘラクレスの柱」とも呼ばれるジブラルタル海峡は、なぜか昔から想像のロマンをかき立てられる場所である。海峡は世界にいくつもあるのに、なぜそう思うのかわからない。ヨーロッパの西の果てと北アフリカという組み合わせに、絶妙に郷愁を刺激される。スペインとモロッコという2国に近代的な印象はない。むしろ寂寥感すら漂うイメージである。だからいいのかもしれない。

個人的に思うことだが、美しい場所というのはどこか寂しい。その意味で繁華街というのは(味わいはとてもあると思うのだが)美しくはなく、むしろその対極にある。
日常の散歩においても思うのは、景色というのは人がいない場所の方が美しい。
人工物の集積である都会の夜景は美しいが、あれは暗闇の中に光る灯りが風景として象徴性を帯びているから美しいのであって、夜景においては少なくとも人の姿は視認できない。それがいいのだ。

そういえばいつも自分は写真に人を極力入れていない。もちろん他人の姿を勝手に写すことを良しとしないのが理由だが、むしろ風景そのものの方に圧倒的に魅力を感じているからかもしれない。

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ニンパイ
やぶさかではありません!