[Opus8] Sesame tofu 胡麻豆腐
セレンディピティSerendipity
この言葉を初めて知ったのは映画『Serendipity』の2002年日本初上映。
私が大好きなNew Yorkが舞台のラブコメディー映画。「ジョンキューザックかっこいいな〜」、「NewYorkのこの場所行った事あるな〜っ」「セレンディピティ3ってカフェがあるんだ〜」って単純に楽しんでいました。
セレンディピティとは幸せな偶然。私は頭の中で鐘が鳴っちゃうような感じ。
素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけたり。
ちょっとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること。
『セレンディップの3人の王子 (The Three Princes of Serendip)』という童話からきていて、セレンディップとはセイロン島、現在のスリランカ。
「スリランカの3人の王子」という意味なのですって。
王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見する物語。
たとえば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。なぜ分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたからなのです。
そんなちょっとした発見。
例えば‥先日修学旅行のお土産いただいた→京都のお土産八ッ橋だった→燕子花と八ッ橋の絵のパッケージ→伊勢物語の第9段「東下り」の場面だ!
これは在原業平が友人たちと東に向かい、住み良いところを探したお話し。
愛知県の八橋にたどり着き(四方八方に流れる川に八つの橋が渡してある)
そこで詠んだ歌が‥
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ
→尾形光琳もこの場面からのインスピレーションで燕子花絵図を描いている→燕子花絵図は青山の根津美術館にある→ここは根津嘉一郎のコレクション→嘉一郎は茶人「青山」→山梨県山梨市出身→今そこで私茶道習ってる!
→New Yorkのメトロポリタン美術館にある尾形光琳 《八橋図屏風》も同じ描写
→Serendipity!
→伊勢物語は高校の国語の授業で、筒井筒の章を教師が「あ〜文学って素晴らしいわね!」と言った作品で内容やけに覚えてるのです。
筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに
女、返し、
くらべこし ふりわけ髪も 肩過ぎぬ 君ならずして たれかあぐべき
そして結婚したのち、浮気してる夫に対しては
風吹けば 沖つしら浪 たつた山 よはにや君が ひとりこゆらむ
などと詠んでいるのです。
→竜田山近くで吉野山も有名な山。
敵である頼朝を前にして、義経との別離を静御前(もともと白拍子)が唄ったもので山へ向かっていく相手を思った歌も‥。
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
(吉野山の峰の白雪を踏み分けて姿を隠していったあの人(義経)のあとが恋しい)
そしてもう一つ有名な義経を慕う歌が‥
しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな
(倭文(しず)の布を織る麻糸をまるく巻いた苧(お)だまきから糸が繰り出されるように、たえず繰り返しつつ、どうか昔を今にする方法があったなら)
→となると 御前繋がりで同時期の女武者の巴御前
お能の作品に『巴』がある。
→そしてお能に『井筒』もある。
→茶道で有名な井筒茶碗は
「筒井筒 五つにわれし井戸茶碗 咎をば我に 負いにけらしな」
秀吉愛蔵の逸品で筒井順慶氏のものであった筒茶碗を、小姓が落として5つに割ってしまった時、直ちに細川幽斎(元総理大臣細川護熙氏のご先祖)が上記の歌を詠みとりなしたという、なんとも素敵なお話。
→京都国立博物館2022年の茶の湯展でもこの大井戸茶碗『筒井筒』が展示されていました。
ということでセレンディピティが繋がって世界が広がりました。
いっぱい鐘が鳴りました。
→ラ・カンパネラが‥ ‥ 終わりませんね。笑。
そんなこんなでお仕事へ繋がっています。
吉野山からの吉野葛を使った胡麻豆腐のご紹介です。
簡単バージョンですのでご覧ください。
Recipe
必要なのはこの三つだけ
ごまペースト‥50g 白ごまでも黒ごまでもどちらでも
吉野くず‥50g
だし汁‥400cc (370gの水と30gの濃縮めんつゆ、または昆布出汁など)
(みりん‥小1 お好みで)
鍋に水、濃縮だし、葛を入れ木べらでよく混ぜ、溶かします。
ねりごまを加えてよく混ぜます。ねりごまは油分が上に、固形分が下に沈殿して固まっていることがありますので均等に入るようにしましょう。
中火にかけます。鍋底は常にかき混ぜ、濃度が出てきたら、弱火にして 鍋底全体をさらに絶えずかき混ぜて均一にねばるようにします。ある程度ふつふつと沸騰してきたら、 ぼったんぼったんという感じになってきます。粘りはじめたら一気に粘度がついていきますので練るべし、練るべし、練るべしです。
急に火が入り、強すぎると思ったら鍋を火から離し鍋の温度を調整しましょう。
木べらからボドッと落ちる加減まで火を入れていきます。
野田琺瑯などのタッパーやバットなどに流しいれ、タッパー下に濡れた布巾を敷き(冷めるのも早くなります)少し高いところからトンと落として空気を抜きます。17.5cm×12cmの野田琺瑯が丁度良いサイズです。
表面乾燥を防ぎたい場合は熱いうちに密着させるようにラップをします。
私は早く冷えてほしいのでラップしないことが多いですが‥。
粗熱がとれたら蓋をして冷蔵庫へ。
小さなお椀にラップを敷いて茶巾絞りにすることもできますし、深めの小皿やプリンカップのようなものでも作ることができます。
バットから切り取りだしても、スプーンですくっても良いですね。
器に盛り付けわさびを添えます。 お醤油をかけてどうぞ。
個人的には山葵と醤油が必須です。
もちろん丁寧に作るなら、胡麻を炒ってすり潰すところからもはじめられますし、葛を混ぜたところで濾すと滑らかになります。出汁も昆布からとって
塩味をつけておく事もできます。お好みでみりんを入れたり
でも出来るだけハードルを下げて簡単に作ることから始めてみるのも良いですよ。
だって葛やねり胡麻を買う事でさえハードルがちょっぴり高いのだから‥。